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集まって共に祝う独立記念日
イスラエルは、3日日没から、戦没者記念日、続いて4日日没から5日日没まで、第74回目の独立記念日を祝った。今年は、マスクからも解放され、さまざまなイベントはすべて、通常の形で行われた。
以下は、独立記念日の記念式典
5日は、晴天で、テルアビブのビーチや、各地でバーベキューする人々の頭上で、イスラエル空軍が華やかなエアショーを披露した。今年は、史上初めて、西岸地区のヘブロンの上空も飛んだとのこと。
Every year, on Israel's Independence Day, the Aerobatics Crew perform spectacular drills in the air that involve difficult maneuvers. In this video, we'll get to see it from their POV. pic.twitter.com/5eMuEd9WRO
— Israeli Air Force (@IAFsite) May 5, 2022
テルアビブビーチの様子
バーベキューする人々
ヘルツォグ大統領は、この日、大統領府にイスラエル軍に大きく貢献したイスラエル軍兵士を招いて、ベネット首相、コハビ参謀総長とともに、彼らに敬意と感謝を表明する式典を行った。この人々は大統領府から上空の空軍機を見守った。
今年は独立記念日には毎年行われてきた、聖書クイズ大会も行われた。最終大会まで残ったのは14人。最後は17歳と16歳が決戦となり、引き分けとなったとのこと。エルサレムでの大会には、ベネット首相、ヘルツォグ大統領も出席した。
これが国家レベルで行われるところがイスラエルである。Times of Israelによると、聖書クイズ大会は、1958年に、ヘルツォグ大統領の母(当時のハイム・ヘルツォグ大統領の妻)が設立したとのこと。
www.timesofisrael.com/israeli-teens-tie-for-1st-place-in-international-bible-quiz/
戦没者追悼:イスラエルのために死亡した人々2万4608人
イスラエルでは独立を祝う前日に、国を立ち上げるために無くなった人々や、テロで死亡した人に敬意を想いをはせる、戦没者記念日がある。多くの人々がエルサレムのヘルツェルの丘に向かう。
国のため(1860年以降)に戦死、またテロの犠牲になったイスラエル人は、2万4068人。テロの犠牲者は4216人。この人々を覚えて、嘆きの壁広場で、追悼式が行われた。全国に黙祷を呼びかけるサイレンは、4日、11時と1時の行われた。
戦没者記念日には、イスラエル人とパレスチナ人が共に、戦没者を追悼するイベントもある。テルアビブでは、このイベントをイスラエル人1000人が集まって共に見守った他、ベツレヘム近郊ベイト・ジャラでは、数十人のパレスチナ人が集まってこのイベントを見守った。
集まっていたのは、主に紛争で家族を失ったイスラエル人、パレスチナ人で、今年は、オンラインで参加した人が20万人にのぼったとのこと。
www.timesofisrael.com/israel-to-usher-in-memorial-day-for-soldiers-terror-victims-with-8-p-m-siren/
増え続ける人口950万人:出産と移住・14歳以下28%
74回目の独立記念日における総人口は、中央統計局の発表によると、昨年から17万6000人増えて、950万人6000人。このうち、ユダヤ人は、702万人(73.9%*世界ではイスラエル領とは認められていない西岸地区とゴラン高原のユダヤ人含む)で、アラブ人は200万人(21%)、それ以外が5%となっている。
新生児は19万1000人。移住者は3万8000人(昨年の約倍)で最近20年で最大数とのこと。イスラエルのユダヤ人のうち、79%がイスラエル生まれである。年齢別で見ると、人口の28%が0―14歳、65歳以上は12%。イスラエルは日本と正反対の人口比である。
www.timesofisrael.com/ahead-of-its-74th-independence-day-israels-population-stands-at-9-5-million/
*世界のユダヤ人はまだホロコースト以前の数に届かず
世界のユダヤ人人口は、4月末の時点で、約1520万人。ホロコースト以前の1939年は1660万人なので、まだユダヤ人は、数的には完全に回復したわけではないようである。ユダヤ人が最も多いのは、イスラエル、アメリカ、フランス、カナダ、イギリス、アルゼンチン、ロシア、ドイツとなっている。
なお、パレスチナ人は(パレスチナの中央統計局)西岸地区、ガザ含めて523万人。
ベネット首相の国内外へのメッセージ
ベネット首相はオンラインで、国民と世界に向けてメッセージを送った。ベネット首相は、「イスラエルをみれば希望が見える。散らされたが、戻されて、まったく1から国を再建した。その力はどこからきたのだろう。どんなに恐ろしい事態に直面しても、どれほど人間以下に扱われても、人間性を失わず、希望を失わなかった。そうして、どれほどわたしたちを滅ぼそうとしても、イスラエルは滅びなかったのである。
それどころか、建国74年にして、イスラエルは、イノベーションでは世界一。国土の60%は砂漠であるのに、水の淡水化技術で、世界にも貢献している。経済も繁栄している。地球上では、おそらく最も危険な地域にいるのに、世界で幸福な国の9番目となった。
政府は、今ユダヤ人の右派左派、ユダヤ人もアラブ人もいる多様な統一政権である。私たちは、将来の強い国という一つの目的のために一致している。これからも、互いの橋を築き続ける。
“実にイスラエルの栄光である方は、偽ることもなく、悔いることもない。(第一サミュエル15:29)”とあるように、私たちはこれからも滅ぼされることはない。」と語った。
石のひとりごと
毎年思うが、日本では、戦没者がこれほどに敬意を払われることはないし、建国をイスラエルのように祝うこともない。第二次世界大戦では、日本の軍指導者らは戦犯に処せられた人も多く。無条件降伏後は、自国の軍隊を持つことが、憲法違反とされているからである。
これからは、日本も軍隊を持つべきとか、憲法改正とかに意見を言っているのではない。ただイスラエルを見てきたものとして、日本が日本らしい祖国への思いや、今の日本を築き上げてくれた先人たちへの健全な敬意をいうものが、自分自身も含めて、どうにも欠けているように感じる。
しかし、東京に行くと、異様に右派的な人々もいる。また、特に中高年の男性と話すと、たとえクリスチャンであっても第二次世界大戦後、日本は、占領国アメリカによって、異様に悪者にされたという意識が少なからずある。
国民全体が一致するような、正しい悔い改めができていないのだろうと思う。その戦争の理解がどうもあいまいなままで、日本はどんどん個人主義に走っているような気がする。
一方で、日本は、アメリカで大活躍する野球の大谷選手や、オリンピックでの目覚ましい活躍を遂げている。日本人は、決して愚かな民ではない。日本でも、これからの世代が、偏らない、健全な愛国心、健全な形での祖国への自信を持つことができるようにと祈りたい。