超正統派シナゴーグで座席崩落の事故:2人死亡167人負傷 2021.5.17

ガザとの戦闘、国内でのアラブ人との騒乱と、災難が続く中、16日、シャブオット(7周の祭り)を祝っていたエルサレム北部、ギブアット・ゼエブの超正統派シナゴーグで、大規模な座席崩落事故が発生した。2人(12歳、40歳)が死亡。200人近くが負傷。このうち5人が重症となっている。

先月、メロン山での将棋倒しで45人が死亡してからまだ一月もたっていないのに、また同じような事故が発生したことになる。

<大人数野外席が崩落>

事故は、10日日没後、超正統派男性たちが、シャブオットの祭り中、ちょうどメロン山のように、ぎっしりいっぱいになった群衆が、階段状になっている臨時階段式座席で、踊っていた時に発生した。突然最上段が崩落して、人々が、人間の雪崩のように落下する様子がビデオに残されていた。

<誰の責任か:市役所か警察か>

メロン山と同様、この施設は、大人数が集まるための安全基準を満たしていなかった。これを警告したかどうかだが、メディアによっては、市役所は警告したが、警察は、最終的にイベントを停止させるのは、市の責任だと主張。

一方、市役所は、この臨時階段式座席では、安全基準を満たさないとして、警察や消防にもこの訴えを出していたとのこと。警察による危険性についての報告は書面でも残されている。さらには、シナゴーグの入り口に、「入るのは危険」との張り紙までだしていたとのことである。

しかし、最終的に警察は、イベントを中止させる決断は警察ではなく、市の責任であると言っていたという。そうこうしているうちに、イベントは開催されてしまい、事故が発生したということである。今回も、警告が十分にあったのもかかわらず、最終的には政治的にも見過ごされた形である。

www.timesofisrael.com/2-killed-over-130-hurt-as-synagogue-bleacher-collapses-near-jerusalem/

www.jpost.com/breaking-news/synagogue-balcony-collapses-in-givat-zeev-dozens-injured-report-668322

*シャブオットとは

シャブオットとはヘブライ語で、シャブオ(週)からきており、過越の祭りから数え始めたオメル(穀物の単位)を数え終わる日である。(聖書レビ記23:15)

また、ユダヤ教では、この日、3300年前に、モーセがシナイ山でトーラー(十戒とそれに関わる旧約聖書)を受け取ったことを覚える。毎年心新たにトーラーを受け取る思いで、新しく聖書通読をはじめる日でもある。

トーラー(律法)を神が、イスラエルに与え、イスラエルもまた神に従うことを誓う。いわば、神との深い関係が結ばれた喜びの日である。これを記念して、この日、ユダヤ人たちは、夜を徹して、トーラーを読み、子供も大人もともに十戒を読む習慣がある。

www.chabad.org/library/article_cdo/aid/609663/jewish/What-Is-Shavuot-Shavuos.htm

今回、大きな事故が発生したときに、超正統派の男性たちが、集団で喜び踊っていたのはそのためである。

<石のひとりごと>

いわば、神との結婚式ともいえるような日に、こんな悲惨な事故が起きた。前もっての警告はあったのに、それを軽視してしまったようである。

責任ある人たちは、今頃、悔やんでも悔やみきれないことだろう。また、このシナゴーグの人たちは、この祭りのたびに、この事故を思い出すことになる。主がまたユダヤ人たちに許された、あまりにも大きすぎりるへりくだりであり、試練である。

しかし、さらに大きな試練は、今、国はガザとの戦闘や国内の騒乱で、こんな大きな事件であっても、かまっていられないということかもしれない。

メロン山の件も、45人もの命が亡くなったのに、すでに、もうほとんどメディアには取り上げられなくなっている。

選ばれた民という仕事は、実はそんなに楽なことではないということのようである。

 

石堂ゆみ

石堂ゆみ

ジャーナリスト、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて18年。学校・企業・教会などで講演して15年になります。