ハマス支配下にあるUNRWAの実態:ガザ避難民はどうなる!? 2024.2.1

UNRWA学校に避難する難民とUNRWA職員November 14, 2023 (Said Khatib/AFP)

UNRWAの実態:イスラエル政府報道官

UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)の職員が10月7日のイスラエル人虐殺に関わっていたことが明らかになり、これまでに日本を含む、12か国が、UNRWA支援を一時停止している。

24日、イスラエルの首相府のエイロン・レヴィ報道官が、「UNRWAは、ハマスにハイジャックされている」として、その証拠を21分にわたって明らかにした。質問も入れると30分にわたった。

最終的に、イスラエルは国際社会に対して、次の3点を求めるとした。①UNRWAへの支援を停止する。UNRWAを真実に人道支援を行う別の国連組織と交代させる。②UNRWAの現指導者を解雇するとともに、これまでの行動を審査する、③イスラエルが主張する3D(①ハマスの解体、②ガザの非武装化、③ガザの非過激化)を実施する。以下は、UNRWAの実情抜粋。

1)10月7日虐殺への関与

レヴィ報道官によると、10月7日のイスラエル領内への侵攻と虐殺に、UNRWA職員が少なくとも13人関わっていた。7人は教師、2人は教育コンサルタント、その他は、人道支援物資倉庫管理者であった。このうち10人はハマス。2人はイスラム聖戦、1人は無所属である。

13人のうち6人(ハマス5人、1人無所属)が、10月7日に、イスラエル領内に入っていた。一人は対戦車ミサイルを担いでいるところ、一人は、人質になったイスラエル人を撮影していた。4人はイスラエル人拉致に関わっており、3人は、テロリストたちへの武器補給に関わっていた。

また解放された人質によると、2人は、UNRWA教師の家で捉えられていた。またガザでは、UNRWA施設へ続くトンネルで移動させられていたことを証言している。

また、UNRWAの学校教師の3000人が、10月7日のイスラエル人虐殺を生徒の前で賞賛していた。

2)ハマス支配下にあるUNRWAの現状

①インフラがハマスに使われている

ガザのUNRWA職員は1万2000人だが、その10%はハマスメンバーで、50%はその親族である。ハマスはUNRWAのインフラを自由に活用しており、地下はトンネルで繋がっている他、UNRWAの病院や学校が、イスラエルへの攻撃の場所として使われていた。(人間の盾)

テロリストが隠れる場としてもUNRWA関連施設が使われていた。

②支援物資をハマスが管理・横領

UNRWAがハマスに支配される中、支援物資の配分がUNRWAに任されている。支援物資や燃料は、ガザ市民ではなく、ハマスが横領しており、その配分はがうまくいっていない。レヴィ報道官は、イギリスのマークがついた支援物資のトラックに、ライフルを抱えた戦闘員が乗っている写真を提示していた。

③ガザ市民の状況を最悪にしたUNRWA

UNRWAが教育の中心なので、ガザの子供たちは、イスラエル人を殺すよう、教えられている。ハマスは、人々を守るシェルターはいっさい作らず、すべてハマス用のトンネルを作ったが、ガザの人々はそれに気づいていない。

UNRWAは、国連で唯一、パレスチナ人のみに使命を持つ支援組織だが、75年たった今も、まだ難民のままである。子、孫の代にまで難民のステータスを安易に与えていることも問題である。

レヴィ報道官は、要するに、UNRWAの目標は、イスラエルがなくなるまで待ち、その後にパレスチナ国家を設立させるということなのだと語った。

④UNRWAを黙認する国際社会の問題

UNRWAの問題は、2004年のCBNインタビューで、ピーター・ハンセン氏が、「UNRWAの職員にハマスが混じっているようだ。しかし、それが悪いとは思わない」と言っているなど、以前から明らかであった。しかし国際社会はそれに対処してこなかった。

その積み上げが、イスラエルへのこの大虐殺になったということ。またそれにも関わらず、南アフリカが、イスラエルの方をジェノサイドを訴えれば、そのままに受け入れている国連組織に、深い懸念を覚えると語った。

ネタニヤフ首相と国連大使一行が面談:UNRWAは終わる時

www.timesofisrael.com/pm-tells-un-envoys-unrwa-is-totally-infiltrated-by-hamas-must-be-replaced/

31日、ネタニヤフ首相は、エルサレムの首相府で、国連大使の一行(マルタ、ブルガリア、チェコ、ハンガリー、ルーマニア、ウクライナ、スロバニア、シオラレオネ)を、イスラエルのエルダン国連代表とともに迎え、面談の時を持った。

ネタニヤフ首相は、国際社会は、UNRWAが完全にハマスに乗っ取られているとして、今、UNRWAの活動は終焉の時が来たと理解すべきだと強調した。

エルダン大使は、UNRWAの調査が終わらないのに、まだ支援を続ける国は、その支援金が、ガザ市民ではなく、ハマスに至っているということ、つまりは、テロに使われているということを知らなければならない。だから、すべてのUNRWAへの支援国は、調査が終わるまで支援を停止するべきだと語った。

ガザはどうなる?:UNRWAへの支援停止がイスラエルへの敵視に変わる懸念も

UNRWAへの支援継続を求めるガザの人々Credit: Oren Ben Hakoon

UNRWAへの支援を停止した12か国の支援は、全体の7-8割をしめているため、このままであれば、UNRWAの活動は2月末にも停止してしまうことになる。ガザでは、220万人が十分な食料もない状態にあり、このままでは、悲惨に悲惨が重なることになる。

UNRWAに変わる組織を急に立ち上げることも難しいとみえ、国連のグテーレス事務総長は、30日に、全体で35に及ぶUNRWA支援国に、支援の続行を呼びかけていた。

www.timesofisrael.com/un-agencies-issue-joint-statement-calling-on-donors-to-resume-unrwa-funding/

このままでは、ガザで餓死者などが出始めて、UNRWAの停止を訴えたイスラエルにまた非難が戻ってくるのではないかとの懸念も出ている。

石のひとりごと

ハン・ユニスから南へ避難するガザ市民 January 30, 2024. (Mahmud Hams/ AFP)

あまりに難しい問題に、頭が痛くなるとともに、ハマスのシンワルへの怒りが湧き上がってくる。ガザの人々にとっての最速の解決は、シンワルがガザのリーダーらしく、人質とともに出てくることではないのか。

イスラエルは、今、論理的にハマスの悪を証明しているのだが、国際社会には、不条理なユダヤ人迫害の土壌があるので、いかに理論的に証明しても、無駄に終わるのではないかと懸念する。ちょうど日本人に福音を論理的に説明しても、理論だけでは動かない何かがそこにあるような気がする。

石堂ゆみ

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。