テロでも今日は喜ぶ日:シムハット・トーラー 2015.10.6

エルサレムでは1日に2人、3日に2人と、イスラエルは今週、計4人のテロ犠牲者を出した。3人の幼い子供たちが両親を失い、8人の幼い子供たちが父を、2人の女性が夫を失った。

東エルサレムと西岸地区では、週末中、各地でパレスチナ人と治安部隊が衝突し、2人のパレスチナ人が死亡した。そのうち1人はわずか13才だった。テロの波はまだ収まる雰囲気にない。

さらにガザからはミサイルが発射され、南部ではサイレンが鳴り響いた。一発はアシュケロン上空で迎撃している。いつものように、イスラエル軍はきっちり反撃している。

このような状況だが、4日はトーラー(モーセ五書)を1年かかって読み終え、また1年を始める日と定められている日、シムハット・トーラーである。トーラーの巻物を抱えて輪になって喜び踊りまくる習慣だ。

日本文化なら、”自粛”しそうなところだが、イスラエルでは恐れや不安にひるむことなく、今年も例年通り、祭りが行われた。

<旧市街・犯行現場でも踊る>http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4707080,00.html

エルサレム旧市街の犯行現場となったダマスカス門から嘆きの壁に至る通りでは、右派系で宗教的なユダヤ教徒の若者たちやラビたち、女性たちも、イスラエルの旗をふりかざし、喜びの歌を大声で歌いながら、イスラム地区を行進していった。

参加者は、「永遠の国は長い道のりを恐れない」、「テロの犠牲者も出て、痛みは大きいが、それで喜ぶのをやめることはない」と言っている。

現在、深夜0時だが、嘆きの壁ではまだ輪になって踊っている若者たちの姿がある。
嘆きの壁・常設ライブカメラ :http://english.thekotel.org/cameras.asp

こうした右派系ユダヤ人の不屈な態度が、イスラム過激派を刺激しているのはいうまでもないことである。このユダヤ人一行のマーチは日中であったが、イスラム地区の店は今日も閉店していた。Yネットによると、「問題に巻き込まれたくない。」と、店の主人は言っていたという。

一方、西エルサレムでは、各地域のシナゴーグで同様の祭りが行われた。以前紹介したアラブ人地区に囲まれているユダヤ人地区アルモン・ハナチーブでは、地域の中心で超大音量で、非常にやかましく音楽を流しながら、夜11時近くまで、ユダヤ人たちが踊っていた。

いつもはイスラムの超大音量のアザーン(祈り)が響くこの地域だが、今日は反撃するかのごとく、ユダヤの音楽と祈りがアラブ人地区にも響きわたったことだろう。

<世俗派は国立公園でアウトドア>

今年の秋の例祭はずっと非常に快適な気候だった。エルサレムポストによると、今年も全国で230万人以上(全国民の20%近く)が、テルアビブのビーチや、国立公園などでのアウトドアを楽しんだ。

タボル山付近、イズレエル平原では、恒例の気球フェスティバルが行われた。イスラエル人2人は2キロ上空からのスカイダイブに挑戦している。http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4707071,00.html

テルアビブでは、土曜、ロックスターのボン・ジョビがヤルコン川公園で、野外コンサートを行い、5万人が参加していた。ちょうど同時刻にエルサレムでテロがあったため、そのニュースで隠れていたが、今日になり、アップされたものである。http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4706904,00.html

恐ろしいテロやロケット弾はあるが、日常は変えない。いつ戦争になるかわからないので、楽しめる時に楽しんでおく。これがイスラエルのユダヤ人である。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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