コロナ最前線:全国7病院が医療崩壊を警告も ベネット作戦に希望の光? 2021.8.23

Medical personnel wearing protective equipment treat a COVID-19 patient in an intensive care ward that has been converted from underground parking, at Rambam Hospital in the northern Israeli city of Haifa, Tuesday, Dec. 15, 2020. The underground facility originally built for a war emergency, can turn from a parking garage into a protected hospital within 72 hours and has been treating coronavirus patients since September. (AP Photo/Oded Balilty)

イスラエルでは、ベネット首相が、ロックダウンはできるだけ避けるという方針を維持しており、感染者、重症者、死者も増加をたどっている。こうした中、3回目ブースター接種を開始してから1週間以上になり、その効果が出始めているとの希望が広がっている。しかし、まだ終わりが見えたわけではない。

依然増える傾向の重症者と死者数

イスラエル人のコロナによる死者は、今週末だけで、40人を超え、先週1週間の間に198人が死亡。8月に入ってからでは350人が死亡した。これまでの死者累計は6830人。100万人あたりの死者数は732人で、イスラエルは世界でもトップクラスである。(日本は124人)

現在、明らかに感染し、発症している人は、67780人。このうち、入院患者は1100人で重症者は669人で、107人が人工呼吸器依存となっている。重症者や死者の人数はまだ増えることは避けられないとみられる。

www.timesofisrael.com/rapid-virus-test-stations-boosted-amid-complaints-of-slow-service/

7病院が医療崩壊を警告:スタッフ増強への資金を要求

22日、イスラエルの主要7病院の院長たちは、今後、集中治療室を要する重症者は2400人に達し、医療が崩壊する。このままであれば、23日より、コロナ患者を受け入れられない事態に入ると発表。政府に対し、医療スタッフの増強と施設の改善に支援の拡充を要求すると訴えた。

政府は、今年1月、各病院に、1億500万シェケル(3億1500万円)を特別支給していたが、さらに20億シェケル(60億円)を計上している。しかし、病院長たちの訴えによると、後者の支援は、その多くが公立病院に流れているという。保健省は院長たちの訴えに応じる姿勢を表明している。

www.ynetnews.com/article/bjm004zgbk

新年祭(9月6日)までに落ち着けるか:ベネット首相作戦が数値に改善ありと希望を表明

ベネット首相の大きな目標は、9月6日のユダヤ教新年までに、感染の落ち着きへの兆しを得て、新年に始まる秋の礼祭シーズンにロックダウンをすることがないように、家族が一緒に例祭を祝えるようにするということである。そのためにも、今、まだワクチンをしていない人にはワクチンを、2回終えた人には3回目ブースター接種を、必死の様相で進めている。

なかなか結果が出てこないことから、一時、ベネット首相のコロナ対策への不支持者は、56%にまで上昇。ベネット政権への危機もみえはじめたと言われた。しかし、1日の感染者数は、日曜日3745人(前日8331人)。陽性率は、先週6%以上にまであがっていたが、5.9 %に下がっていた。週明けから、ベネット首相作戦に希望が見え始めたとの記事が出始めている。

また、ワクチン接種完了者の中に、ブレークスルー感染はあるものの、死亡している人の大部分はワクチン接種を受けていなかった人である。

このため、ベネット首相は、先週金曜から、夜も安息日も休まずワクチン接種を進めるよう指示を出していた。これまでに、40歳以上の人々と医療従事者、教師たち140万人以上が3回目のワクチン接種を終えている。

こうした中、最初に3回目のブースター接種が始まってから7日をすぎた110万人について、保健省が行った調査によると、3回のワクチン接種完了でもなお感染した人は、2790人(0.2%)と非常に少ないことがわかった。

さらにその中で入院を要した人は、187人(0.01%)、その中で重症化した人は88人(0.008%)、このうち死亡した人は15人(110万人中)であった。まだ判断には時期尚早ではあるが、3回目のブースター接種には、やはり感染と重症化を抑える効果があるという結果が見え始めたと報じられた。

これを受けて、ベネット首相は国民に対し、希望が見え始めたとして、このままワクチン接種を行い、皆がマスクを着用するなどの感染予防に努めれば、新年は家族とともに祝えるので、頑張って欲しいと訴えた。

www.timesofisrael.com/nearly-200-covid-deaths-reported-in-past-week-but-booster-data-raises-hopes/

*イスラエルの陽性率が6%前後なのに、日本の陽性率が30%前後であることについて

イスラエルでは、従来のPCRとは別に、簡易コロナ検査(結果の有効時間は24時間のみ)を活用している。MDA(救急隊)が、会場を全国に設置しており、毎日の検査数は、数十万件になる日もある。日本の陽性率は、地域によっては30%近くという驚異的な数字になっている。これは、検査する人のほとんどが、すでに症状のある人だからである。検査しないのでわからないだけで、無症状のまま、市中にいる患者がかなりいるということを意味している。

石堂ゆみ

石堂ゆみ

ジャーナリスト、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて18年。学校・企業・教会などで講演して15年になります。