エルサレムでテロ:3ヶ月乳児死亡 2014.10.23

22日夕刻、エルサレム市内、Amunition Hill (六日戦争記念の丘)付近で、市内を走るライトレール(路面電車)を待っていた乗客の群れに乗用車が突っ込み、ベビーカーに乗っていた3ヶ月の女の子ハヤ・ブラウンちゃんが死亡。7人が負傷した。

突っ込んだ車を運転していたのは、東エルサレムのシロアム在住のパレスチナ人アベド・アブデルラフマン・シャルディ(21)。突っ込んだ後、車を降りて逃げようとしたところ、警察に撃たれ、後に病院で死亡した。

アベドの家族は事故だったと主張しているが、アベドは、イスラエルへのテロ行為で刑務所を何度も出入りしている重要警戒人物。イスラエル当局はテロ行為であると断定している。

この事件発生後、夜間、シロアムや、東エルサレムのシュアハットなどでは、治安部隊への投石などによる衝突が発生。今朝23日朝には、東エルサレムのユダヤ人地区マアレイ・ハゼイティームの幼稚園が投石を受けた。子供たちは避難して無事だった。

ネタニヤフ首相は23日、「テロには忍耐0」の方針だとして、諜報機関、治安部隊などに、東エルサレムで暴動に加わった者を逮捕、一掃するよう命じた。治安部隊は、夜間だけで、東エルサレムと西岸地区全般で、すでにハマス系のパレスチナ人17人を逮捕している。

別件になるが、23日朝には12才の少年が、走行バイクに投石して逮捕されるなど、最近の逮捕されるパレスチナ人の暴徒は10代の少年たちが多い。取り扱いは難しいとみられる。

今回、犠牲となったハヤちゃんは、アメリカ国籍の正統派家族だった。昨夜中に行われた葬儀には数百人の正統派が参列。リブリン大統領、バルカット市長、エルサレムのチーフラビも参列しての葬儀となった。

<とりなし事項>

前回、3人のユダヤ人少年が誘拐・殺害されたことを受けて、ユダヤ人過激派らが、パレスチナ人少年を殺害。ネタニヤフ首相が大規模にテロリスト一掃作戦を展開したことを受けて、ガザとの戦争に発展したという経過がある。

今回、ユダヤ人の3ヶ月の赤ちゃんが死亡している。今後、再び暴力の応酬に発展しないよう、とりなしが必要。

なお、衝突が発生した地域は、確かにエルサレムで、町の中心部からライトレールで10分以内の地点はあるが、ユダヤ人居住区の西側ではこうしたテロは発生しておらず、普段と変わらない日常が続いている。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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