エルサレムでも超正統派と警察の衝突:ハラディ・ライブズ・マター 2020.7.13

Arutz7/Kan news スクリーンショットhttp://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/283428

テルアビブでのデモの翌日、12日夜、エルサレムの超正統派たちが、先週からはじまったロックダウン(超正統派エリアなど5地域)に反発するデモを行った。こちらは、封鎖の策を倒そうとしたり、ゴミ箱に火をつけるなど、暴力的になったので、警察が、少なくとも2人を逮捕した。

www.timesofisrael.com/2-arrested-as-ultra-orthodox-protest-neighborhood-lockdowns-for-second-night/

*現在、ロックダウンされている地域

エルサレムの超正統派エリア(メアシャリームではない)、ベイトシェメシュなど5地域。これに先立ち、ベイタール・イリット、アシュドドの超正統派エリアと、ロックダウンされている地域は、ほとんどが超正統派地域。

超正統派たちの神学校では、十分なパーソナルディスタンスがとりにくいことや、大人数の家族が同居する生活形態であることもあり、超正統派地域は、どうしても感染者が多くなりがちである。この人々は服装や、文化が一般と違っているので、アメリカの黒人の例のように、差別的と感じられるのだろう。

超正統派のデモ隊は、警察に向けて、卵を投げつけるなどして、「反ユダヤ主義のナチ」とか、アメリカの黒人差別にみたてて、イスラエルの警察は超正統派を差別しているとして、「CLM: Charade(超正統派)Lived matter」の看板を掲げた。

先週、超正統派の少女が、警察官2人にマスクをつけていないと、取り締まりを受け、泣いている映像がツイッターにアップされたことで、アメリカのBLM運動を引き合いにだしてきたと思われる。しかし、映像を見る限り、警察官は、少女をふみつけるどころか、触れてもいないことがわかる。

このほか、エルサレムのメアシャリームにおいて、マスク着用義務のとりしまりをする警察が、超正統派男性を殴る様子がツイッターに流されたこともあった。

しかし、超正統派は、アメリカの黒人と違って、一般市民には課される税金が免税になるほか、兵役の義務も基本的に免除されている。政府からはかなり優遇されている立場にある。ハラディ・ライブス・マターと主張するのは、少々無理があるのでは。。。とも感じるところである。

<ネタニヤフ首相の対応:超正統派との対話>

超正統派エリアが、ロックダウンにおかれるのは、感染が拡大しているからではあるのだが、先週10日、超正統派議員のラビ・イスラエル・エイクラーは、政府が、超正統派には不当に厳しい処置をとっているとして、連立政権の超正統派政党は、一時的にでも、離脱すべきだと述べた。

その後、テルアビブでもデモ、エルサレムデモとなったのだが、12日、リッツマン建設相と統一トーラー党代表は、政府が、不当に、差別的に、超正統派地域の封鎖を決め、警察が不当に厳しくとりしまっていると、ネタニヤフ首相に訴えた。

アリエ・デリ内務相も、警察が超正統派に対して、意図的に厳しい対処を行なっていると非難する声明を出した。

これを受けて、ネタニヤフ首相は、エデルステイン保健相、オハナ国内治安相とともに、本日月曜、リッツマン建設相生、デリ内務相はじめ、すべての超正統派政治家らと議論を行うと発表した。

www.timesofisrael.com/pm-to-meet-ultra-orthodox-mks-amid-claims-virus-rules-masking-discrimination/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。