エルサレムを含め、西エルサレムでも市民の暮らしは、今はまだほとんど変わりはない。静かで平和な例祭だった。しかし、イスラエルの治安状況はきわめて厳しいと言わざるをえない。
<パレスチナ人との衝突:力には力を?>
この週末に4人もの市民が殺害されたことを受けて、ネタニヤフ首相はすでに、治安部隊に課している様々な制限を緩和し、テロリストには厳しい措置をとるよう指示している。
テロリストとして逮捕された者の家はすみやかに破壊すること。緊急措置拘束期間(裁判なしでの拘束できる期間)の延長。治安部隊の増強、パレスチナ人の旧市街入場制限などである。
西岸地区では、4部隊がテロリストの検挙と、その動きの監視にあたっている。その中で、日曜夜、ナブルスにおいて、エルキン夫妻を射殺したハマスのセルメンバー7人を逮捕した。7人は犯行を認めている。
ハマスはさらなるユダヤ人殺害の計画だという。
西岸地区では、各地で衝突が続いているが、特にベツレヘム近郊、ラケルの墓では、ユダヤ人たちが祈るところへ火炎瓶がなげこまれた。
続いてラケルの墓近くのアイダ難民キャンプで治安部隊と衝突が続き、13才のパレスチナ人が死亡した。これにさきだち、ツルカレムでの衝突で、18才のパレスチナ人が死亡している。パレスチナ人の怒りがまたさらに高まっている。
イスラム聖戦は、自爆テロをほのめかしている。エルサレムでは、夜中中、ヘリコプターが上空を飛んで、監視をしてくれている。
<ガザからのロケット弾> http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4706955,00.html
先週にもガザからのロケット弾が着弾したが、日曜、またガザからロケット弾が発射され、一発はガザ地区内部に着弾したが、もう一発はアシュケロン上空で、迎撃ミサイルが撃ち落とした。そのため被害はなかった。
しかし、月曜夜にもエシュコル地方に着弾した。イスラエル軍は、ロケット弾が撃ち込まれるたびに反撃を行っている。しかし、南部住民は、ネタニヤフ首相が抜本的な対策をとらないと怒りを訴えている。
<右派系市民:ネタニヤフ首相官邸前デモ> http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4707247,00.html
5日夜、シムハット・トーラーの祝いの時間帯、エルサレムの首相官邸前では、数千人の右派系ユダヤ人らが、エスカレートするテロへの強硬的な対策を求めて、デモを行った。
シムハット・トーラーでもあったため、デモはステージを組んで、バンドが立ち、音楽に合わせて輪になり、イスラエルの国旗を振りかざしながら踊るという場面もあった。
明らかに右派系である。デモには、カッツ交通相など、右派リクードの議員も参加していた。
宗教右派のユダヤの家党ナフタリ・ベネット党首は、ネタニヤフ首相に対し、対策案のリストを提出している。それによると、当然ながら、入植地拡大を含む右派的な内容である。
テロには厳しく接する。しかし、右派の言いなりではパレスチナ人が爆発する。しかし、実際には、右派であろうがなかろうが、イスラエルが何をしてもパレスチナ人は怒りをぶつけてくるだろう。
また。同じ党内でも意見が割れ、国会では、わずか1議席差の与党である。
ネタニヤフ首相は月曜、病院で治療を受けている3人のテロ被害者を見舞い、その後、9時から治安閣議が始まった。今、ネタニヤフ首相は、大きなプレッシャーの中、非常に難しい対応を求められているといえる。
幸い、明日から気温が下がり、雷雨になるとの天気予報である。雨が降るとテロは減る。これもまた主の哀れみかもしれない。
<読者の皆様へ>
ニュースだけでは、エルサレム全体が戦闘状態にあるように聞こえるかもしれないが、一般住民が住んでいる西エルサレムでは、今の所、静かな日々であり、ニュースを見なければ、紛争があることもほとんど感じられないほどである。
しかしながら、ユダヤ人居住区のすぐ外側で、衝突が続いていることは確かであり、市内でのテロもいつ起こっても不思議はない。
ガザや北部国境すぐ近くでも戦争の足音があり、イスラエル(ガザと西岸地区以外)だけが、ちょうど、火の海の中の平和の島のような状態だということである。続けてとりなしていただければ幸いである。