イスラエルで新たな感染121人(24時間):ドライブスルー検査再開

バル・シモン・トーブ氏 出展:Times of Israel /保健省 https://www.timesofisrael.com/israel-reports-sharp-jump-to-115-infections-as-health-ministry-warns-lax-public

新たな感染急増

イスラエルでは、あらたな感染者が20人以下で推移していたことから、経済・社会活動の解除を順次すすめていたが、複数の学校で、教師や学生の陽性が確認され、生徒らを下校するなどの動きが出始めていた。

こうした中、28日にはあらたな陽性者が79人。29日には、115人(最終的に121人)と、ロックダウンの上限100人を超えてしまった。しかし、2日間の新たな感染者のうち、84人は、クラスターとなったエルサレムの高校(高校生64人と教師14人)からであった。

公衆衛生を担当するシーガル・サデツキー氏は、保健省に対し、全国で31の学校が感染のホットスポットになっていると報告した。政府は、今夜、安息日開けに急遽対策会議を開き、学校閉鎖などの処置を検討する。

イスラエルでは、28日の日没以降、シャブオットであったが、この例祭は宗教的にも社会活動をストップしないでもいいことから、バーやビーチに大勢が繰り出すことになった。人々も油断したか、パーソナルディスタンスなどの基本ルールが守られなくなっていたという。

これまで、保健省で、新型コロナ対策を中心となって導いてきたバル・シモン・トーブ長官は、解除の段階が急すぎたと指摘。しかし、また2週間のロックダウンに入る段階ではないとの考えを示した。

今の所、閉鎖されるとすれば、問題になっている中学高校が対象となり、31日から予定されている大学の開校は、今のところ、予定どおり実施されるとみられる。

バル・シモン・トーブ長官は、今後の感染拡大は、市民が感染予防のルールをどこまでまもれるかだと警告する。また、ウイルスがまだ存在しているのであるから、高齢の両親への訪問はもうしばらくズームなどの遠隔にとどめておくべきだと述べた。

なお、バル・シモン・トーブ氏は、辞任を表明しており、まもなく、次の長官に交代することになっている。

www.timesofisrael.com/israel-reports-sharp-jump-to-115-infections-as-health-ministry-warns-lax-public/

ドライブスルー検査場再開

感染者の急増を受けて、まだ安息日は終わってないが、30日、エルサレムのテディスタジアムの駐車場でのドライブスルー検査が再開された。これについては、クラスターになった学校関係者など、必要と指示された人だけになる。続いて、テルアビブ、ベエルシェバでもドライブスルー検査上が再開されることになっている。

www.timesofisrael.com/further-steep-increase-of-121-virus-cases-drive-though-testing-sites-reopened/

新型コロナとの戦い:検査キット開発ラッシュ

新型コロナとの戦いは、最終的にはワクチンと治療薬の開発である。しかし、このウイルス自体がまだ不明な点が多い上、どんどん進化しているようでもあり、抗体を得ても、半年もたないなどの情報もある。治療薬も、まだ既存のものだけで、新型コロナに特化したものはない。

そうなると、まずは、早くて正確で安価、大量の検査に対応できるキットが必要になる。

イスラエルは、人口920万人と小さな国でもあることから、早期から、とにかくできるだけ多くの検査を行い、陽性者を徹底的に隔離する方策をとってきた。感染を早期に発見して重症化させないようにするとともに、感染していない人、またハイリスクでない人には、経済・社会活動を安全に継続させるためである。

1)1分で終了・1日10万件の検査キット開発中

イスラエルでは、脅威に直面した場合、自分の役割や地位へのこだわりが、まったくなくなるようである。すぐれたスパイ組織であるモサドが、マスクなどの医療物資に走ったり、ミサイル製造部門が人工呼吸器の開発・製造にまわったりである。

今度は、迎撃ミサイルシステム、アイアンドームの中心人物であるイスラエルの防衛研究長官のダニー・ゴールド司令官のチームが、検査キットの開発を進めているとの記事が出た。

チームは、現在使われている生物学的な検査法ではなく、放射線や電気、化学などの物理的な手段による検査法を模索しているという。防衛だけでなく、あらゆる分野のスタートアップ企業からの知恵も動員しているとのこと。

ゴールド司令官は、「30秒で、結果を出し、1日10万件をめざしている。これが実現できれば、ゲームチェンジャーになる。」と語っている。

www.timesofisrael.com/from-kassams-to-covid-iron-dome-chief-to-tackle-virus-with-100000-daily-tests/

2)ユダヤ人とパレスチナ人が検査キット開発:アメリカ

他民族が同居するアメリカには、アメリカのユダヤ人と、アメリカのパレスチナ人がいる。マサチューセッツ州のケンブリッジでは、ユダヤ人のジョナサン・グーテンバーグさんと、パレスチナ人のオマール・アブダヤさんが、共同で、検査キットの開発を行っている。

二人は、マサチューセッツ・工科大学(MIT)・神経化学のヘング・ザング教授を中心とした、マクガバーン技術研究所の研究員である。二人は共にアメリカ生まれで、共に研究して5年になるという。

アメリカは総人口が3億人以上もいるので、1日に50万人の検査が必要と言われている。現時点では、まだまだとどかない数字である。このため、MITでは、STOPCovid19 というチームをたちあげ、特に家庭でもできる簡易検査キットの開発を進めている。

www.stopcovid.science

すでに5月8日に、家庭でできるコロナの検査キットを発表した。まだFDAのお墨付きは出ていないが、すでに第二弾への開発を進めているとのこと。

MITだけでなく、UCLAでも同様のチームを立ち上げている。最近では、オンラインで簡単に会議ができる時代に入ったこともあり、居住地、民族的背景、文化的背景を超えて、科学的な開発が可能になったといわれている。

*日本にもあるSTOPCovid19のこころみ:神戸市

神戸市は、テクノロジーを使って、新型コロナの諸問題に対処するべく、スタートアップによるアイディアを募集、支援をすすめている。特に今、募集しているのが、データの解析、感染恐れ確認、困窮事業者支援、市民生活支援に関する技術。

オンラインで応募でき、2日営業日以内に審査、1週間で関係部署との調整、即日実験などとなっている。

urban-innovation-japan.com/for-covid-19/

今回、IT後進国であることが明らかとなった日本だが、第二波が来る前に各地で、研究開発、調整が行なわれている。ぜひ世界に追いつくだけでなく、本来の日本の技術力を発揮してもらいたいと思う。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。