アメリカのシリア攻撃続報:米露と関係維持のイスラエル 2021.2.27

シリア上空の米軍機 2018年 

バイデン大統領:攻撃はイランへの警告

昨日、アメリカがシリア東部の親イラン武装組織(カタリブ・ヒズボラ)を攻撃した件。バイデン大統領が、正式に、イランに、「(核兵器開発疑惑について)おとがめなしになると思わないように。気をつけるがよい。」との警告であったと発表した。

今回の問題は、もともとイランの核兵器開発疑惑があったために、世界がイランと交渉し、核問題について、合意しなければならなかった(2015年のJCPOA合意)。にもかかわらず今は、イランの方が、先にアメリカが経済制裁を先にやめるなら合意に復帰させてやってもよいという態度に出ている。バイデン大統領は、今回、それは間違っていると釘をさしたということである。

実際に何があったかについては、米国防省によると、親イラン武装兵たちが、イラクとシリアの国境で、出入りしていた地点とみられる地域に、2機の戦闘機からミサイル7発を撃ち込み、9施設を破壊、2施設にダメージを与えて、機能不全にしたとのこと。

シリア人権監視団体は、この攻撃で22人が死亡したと言っているが、オーバーに発表している可能性が高い。しかし、カタイブ・ヒズボラ(レバノンのヒズボラとは無関係)が、被害の写真をこの攻撃で死亡した武装兵1人の写真をアップしている。

ペンタゴンの報道官は、今回の攻撃は、2月中に発生したバグダッドの米大使館周辺への攻撃、アルビルの米軍駐留周辺への攻撃で、米兵1人が負傷していることへの防衛措置的な報復であったことから、国際法の範疇であるとの認識を発表。米兵が負傷した2月中の攻撃について、イラク政府は捜査する必要があると述べた。

しかし、議会を通した決断ではなかったことから、バイデン大統領自らの民主党内部からも、合法的ではないとの意見も出たとのこと。一方で共和党からは、この攻撃を賞賛する声が出ている。

www.timesofisrael.com/biden-says-us-airstrikes-in-syria-sent-warning-to-iran-be-careful/

シリア・イラン・ロシア・中国の反応

シリアとイランは、アメリカの攻撃の後、さらに地域の平穏を乱す行為だとして、バイデン政権の「よくない印だ」とのコメントを出した。また、シリアの保護者的存在でもあるロシアも、アメリカの攻撃を非難する声明を出した。

中国は、シリアの自治権は守るべきであり、他国が介入するべきではないとの声明を出した。

イスラエルは歓迎

イスラエルのメディアによると、イスラエル政府筋人物は、「イランは、バイデンが、オバマとは違うということを知らなかったようだ。」と述べ、アメリカの今回の攻撃を高く評価していると語っている。実際、この攻撃の前に、アメリカはイスラエルに連絡し、万が一の反撃に備えていたとの情報もある。(未確認)

www.timesofisrael.com/israel-said-very-pleased-with-us-strikes-in-syria-biden-is-not-obama/

しかし、イスラエルは、今月、イスラエル人女性がシリアに入ってロシアの保護を受けた際、ロシアと交渉して、イスラエルで逮捕されたシリア人羊飼い2人との交換で、返還してもらったという経過があった。

この時、実はもう一つの交換条件があったと言われていたが、公表されていなかった。後に、イスラエルがロシアのワクチンを購入し、シリアに提供したということがわかり、これが交換条件の一つであったと報じられた。イスラエルはロシアに多額の代金を払ったとみられる。

シリアは、コロナ禍にあって、宿敵イスラエルにワクチンを買ってもらうという屈辱を経験したわけである。イスラエルは、今回、友好国、アメリカのシリアにおける親イラン組織への攻撃を歓迎しているが、裏では、ロシアやシリアと、こうした裏の取引もやっているのである。中東での生き残りは、蛇のようなしたたかさを要するということである。

www.timesofisrael.com/a-bad-sign-syria-iran-russia-condemn-us-strike-on-iranian-backed-militias/

ユーフラテス河付近に駐留するアメリカ軍2500人

イラクに駐留する米軍
wikipedia

イラクに駐留するアメリカ軍は、現在2500人。ユーフラテス川近くに駐留している。トランプ大統領は、一時、この米軍をすべて撤退させようとしたが、イスラエル始め、中東スンニ派諸国から、撤退させないようにと要請が殺到した。そのため、米軍は、今も継続してこの地域に駐留している。

今この地域でなんとか平穏が保たれているのは、米軍がまだその存在を維持しているからであるとみられている。

この地域については、終わりの時のことが以下のように聖書に書かれている。

第六の御使いが鉢を大ユーフラテス川にぶちまけた。すると、水は、日の出る方からくる王たちのために道を備えるために、かれてしまった。(黙示録16:13)

もし将来、アメリカ軍が、この地域からすべて撤退してしまった場合、ロシア、イラン、イラク、そして中国といった大群が、ユーフラテス川を越えて、イスラエルの方角に流れ込んでくることも可能になってしまうということである。

石堂ゆみ

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。