アメリカとイランの緊張が高まっているが、同時に東地中海情勢にも、無視できない動きが展開している。
ネタニヤフ首相は、2日、アテネにて、イスラエル、ハイファ沖の天然ガス油田から、東地中海、海底を通って、ヨーロッパまで2000キロにも及ぶ大パイプライン計画を、ギリシャとキプロスと3国で共同署名した。
これが実現すると、キプロス、ギリシャを通ってイタリア、さらには、南部ヨーロッパにまで天然ガスが運ばれることになる。天然ガスをロシアに頼ってきたヨーロッパ諸国には朗報となるはずである。このプロジェクトは、EastMed(東地中海)プロジェクトと呼ばれる。
イスラエルは、この他にも、天然ガスをヨルダンとエジプトにも輸出しており、天然ガスを武器に地中海東部の国々を味方につけた形である。これはまた、リビアと組んでこの海域の支配と、天然ガスの採掘権をねらうトルコをけん制するねらいがあるとみられる。
www.timesofisrael.com/israel-inks-mega-gas-pipeline-deal-with-greece-cyprus/
<トルコがリビアへ1月にも派兵か>
トルコは、2019年、11月28日、リビア西部を支配する国民合意政府(GNA:国際的にリビア政府と認められている組織)と、軍事・海洋境界に関する協力関係を結び、東地中海の海域において、イスラエルと手を組んだギリシャ、キプロス、エジプトなどに対抗する動きを見せていた。
リビアは現在、内戦により分裂しており、西は上記GNAが支配しているが、東は東部政府としてリビア国民軍(LNA)が支配しており、今も衝突が続いている。
一応は西のGNAが正式な政府と目されていることを受けて、トルコは、GNAを軍事支援する代わりに、リビア沖東地中海海域への権利を得るということで、12月、GNAと覚書を交わした。今回、イスラエルとギリシャ、キプロスなどが、交わした大パイプライン計画は、このトルコの動きに対抗するものである。
またリビアとの合意により、トルコは1月にもリビアへ軍を派遣する見通しとなっている。リビア西部へトルコが軍が出てくると、リビア東部に支援を送っているエジプト、ヨルダンとも対立することになる。
www.afpbb.com/articles/-/3261935
中東はいよいよチーム分けが明確になりつつあり、そのチームに大国がついている形で対立が深まっていると言える。聖書のゴグ・マゴグの戦いを容易に連想させられる形である。(カッコの名称はエゼキエル38章に出てくる国々)
イスラエルと、サウジアラビアなどスンニ派湾岸諸国(シェバやドタン)、エジプト、ヨルダン、ギリシャ。こちらについているのが、アメリカである。
一方で、イラン(ペルシャ)、トルコ(ベテ・トガルマ)、シリア、リビア(プテ)、ソマリア(クシュ)。こちらについているのが、ロシア(ゴグ?)、中国となっている。