入植地の極右ユダヤ人とイスラエル軍が衝突 2019.10.21

入植地に住む過激なユダヤ人の若者たちとイスラエル軍が衝突するという事件が発生している。この若者達は、ヒルトップ・ユースと呼ばれ、極右でパレスチナ人への暴力を繰り返すグループである。

白い服に身を固め、投石したり、パレスチナ人の畑や家、モスクに放火し、2015年には5歳児を除く一家3人が焼死するという事態にまでなった。パレスチナ人の間では恐怖になっている。このグループの活動がまた表に出始めている。

先週、イスラエル軍(ゴラニ部隊)は、西岸地区ナブルス近郊のユダヤ人入植地イズハルの谷ににあるパレスチナ人の町、フワラに放火しようとしたイズハル在住のヒルトップユース(10代)を逮捕した。

すると別のヒルトップユースが、ゴラニ部隊のアユブ・カヤフ少佐が運転していた車を止めて、暴行しようとした。カヤフ少佐はこれを逃れて、警察に通報。イズハル在住のヒルトップユース2人目が逮捕された。

すると、安息日の夜中3時すぎ、30人ほどのヒルトップユースが、イズハル付近を警備していたイスラエル軍兵士らに向かって、投石したりタイヤをやくなどの暴動を始めた。これにより、兵士1人が軽傷を負った。

イスラエル軍は、暴動対処法にしたがい、空中に発砲してこれを取り押さえた。これはユダヤ人同士の争いで、イスラエル軍としても心苦しい任務である。

西岸地区のユダヤ人入植地は、ショムロンとよばれるサマリア地区自治組織が運営している。その代表ヨシ・ダガン氏は、地域に駐留するイスラエル軍を訪ね、これは外部から来た少数のグループによるものであり、イズハル住民、ショムロン住民は、軍に敬意と感謝を忘れていないと強調した。

www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5610159,00.html

これらのヒルトップ・ユースは、主に、ユダヤ教超正統派で、厳しい律法遵守とトーラーの学びのみの毎日から落ちこぼれ、行き場を失った若者たちで、ユダヤ人過激右派らが集め、こうした行為を行わせているとも言われている。

超正統派の生活に疑問を持ち、そこから離脱するユダヤ人は、イスラエルの中央統計局によると、年間8-10%にも及んでいるという。

www.youtube.com/watch?v=Ketwp_WYu2k&t=8s

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。