イスラエル兵の冷酷射撃摘発か 2018.4.11

ガザ国境での紛争が2週続き、これまでに30人が死亡しているが、9日、ワッツアップ(ラインのようなもの)で、イスラエル軍兵士と思われる声で、ガザ国境にいるパレスチナ人を射殺しておもしろがるビデオが出回り、物議を呼んでいる。

ビデオによると、ガザ国境の有刺鉄線付近に近づいた非武装のパレスチナ人が撃たれて倒れたところ、「やった!」と叫び、「撮影したか」と笑いながら興奮して叫ぶヘブライ語の声が収録されている。

www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5225469,00.html

イスラエル軍はこれについて調査を開始。撮影されたのは、最近の紛争中ではなく、昨年12月だとみて、すでに関係した兵士らを尋問中だとの情報もある。昨年12月のケースであった場合、この撃たれたパレスチナ人は死亡していない。

www.timesofisrael.com/idf-said-to-question-soldiers-filmed-celebrating-shooting-of-palestinian/

これは全くの筆者の個人的印象なのだが、この倒れたパレスチナ人が、このような場所に来るのに、どういうわけか赤い服を着て、周囲にはそそくさとしゃがんで動き回る仲間たちがいる中、のっぺりと立っている姿がどうにも不自然・・・イスラエルの極左組織にしくまれた可能性はないのかとも思うが、考え過ぎか。。

いずれにしても、問題の本質は、ヘブライ語で叫んでいる声が、人に危害を加えて楽しんでいるという残虐性である。

以前、ヘブロンで、すでに治安部隊に撃たれて重症になっているテロリストを不要に撃ったアザリヤ軍曹のケースでも、軍曹が、なんの躊躇もなく殺害していたことが最終的な問題とされた。

今回のビデオも人間を殺したかもしれない場面で、喜んでいたということが、最終的には問題になると思われる。

www.jpost.com/Israel-News/Has-the-next-Hebron-shooter-arrived-549317

これについて、ベネット教育相は、あくまでもイスラエル兵たちを擁護する立場である。「戦場とテルアビブの机上とは違う。(生死をかけた戦場で敵を倒したという)人間の自然な反応だと反論している。

www.timesofisrael.com/bennett-defends-soldiers-filmed-cheering-gazans-shooting/

<撃たれたパレスチナ人ジャーナリストはハマス戦闘員?>

先週金曜、パレスチナ人ジャーナリストのヤセル・ムタヤ(30)が、イスラエルの射撃で死亡したことで、イスラエルへの非難が高まっている。しかし、Yネットが、イスラエルのニュースエージェンシー・ワラに語ったところによると、ムタヤは、ハマスの戦闘員でもあったという。

2015年には、ドローンをハマスに届けたともみられている。リーバーマン外相は、今回、ムタヤは、現場でドローンを操作していたとして射撃されたもようである。しかし、昨今、フォトジャーナリストならドローンを使うことは十分ありうる。   

現場にハマス戦闘員として立っていたのか、ハマスのジャーナリストであったのか、そのどちらでもあったのだろうが、いずれにしても、死んでしまったことで、非難はイスラエルに集中するのである。言い訳はすべて、イスラエルに不利に働いている。

ハマスは、イスラエルへの国際非難を最大限に利用して、ハマスはイスラエルへの”帰還”運動を6週間、あくまでも継続する意思を表明している。

www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/244201

<ガザのハマス軍事拠点を空爆>

ハマスは、平和的な市民デモだと主張するが、イスラエル領内への侵入を試みたり、国境に爆発物をしかけるなどの武力行為は続いている。

イスラエルは、国境にプラスチックボトルの爆弾2つを発見したことから、「国境を戦場にさせない。」として、9日、ガザ北部のハマス拠点を空爆した。被害についての報道はない。

www.timesofisrael.com/israeli-jets-strike-gaza-after-palestinians-plant-bombs-on-fence/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。