7月14日に、イランと6カ国(アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国、ドイツ)が、イランの核兵器開発疑惑について、最終合意に達した件。
そのわずか3日後の17日、テヘランでは、イランのイスラム最高指導者のアヤトラ・ハメネイ師が、ラマダン最終日において群衆に国際社会との合意についての見解を次のように語った。
「イランは合意に関係なく、パレスチナ、イエメン、シリア、イラク、バハレーンへの支援を続ける。傲慢なアメリカへの方針は変わらない。
核開発について、アメリカはイランの核開発を阻止したといっている。しかし、彼ら自身がそうならないことを知っている。核開発を禁止するかとうかを決めるのは、イスラム法に基づいてファトワ(イスラム見解)が判断することだ。国際社会との合意ではない。」
続いて群衆が「アメリカに死を!イギリスに死を!イスラエルに死を!偽善者に死を!」と叫んでいる様子が報じられた。
edition.cnn.com/2015/07/18/middleeast/iran-us-relations-khamenei/
合意からわずか3日後のこうした行為は、いかにも誇り高いイランが国際社会をばかにしているようにも見える。ネタニヤフ首相は、オニの首をとったがごとく、「これがイランの本性だ。」と訴えた。
一方、ケリー国務長官は、「こうした公の発言の場合、(言うだけであって)実際に何かが起こるとは限らないものだ。しかし、もし、イランが本当にこうした方針を持っているなら、困ったものだ。」と語った。
<アメリカ人の反応>
アメリカでは現在、議会が60日を期限に、イランとの合意内容を検討している。これに平行し、オバマ大統領やケリー国務長官が、イランとの合意に関する質問を、各方面から受けて、そのコメントが注目されている。
ニュース番組だけでなく、オバマ大統領は、お笑いトーク番組にも出演している。たとえば、少々古いが、タモリの「笑っていいとも!」のような番組にも出演している。
番組の中で、アメリカのタモリは、オバマ大統領に対し、混線してわけがわからなくなっている中東問題について「我々はいったいどのチームにいるんですか?」とか、「いったい誰を空爆してるんですか?」「イランは味方?敵?」など、市民の素朴な質問をおもしろく投げかけている。なかなかおもしろいのでおすすめ。
www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/198463#.Va9uDqW9BCu
こうしたオバマ大領等やケリー国務長官の発言を統計すると、結局の所、アメリカは、イランが将来核兵器保有国になることは避けられないだろうというのが暗黙の認識のようである。
「今回の合意により、少なくとも10-15年は平和が続く。そのころまでには、イランの手の内をもっと正確に推察できているだろう。」と、なんとも無責任?な見解をオバマ大統領は語っている。
<国連安保理で承認>
国連安保理では20日、イランとの合意についての採択が行われ、常任理事国(イランと交渉をした6カ国)と15の非常任理事国すべてにおいて、全会一致での承認となった。
イランのハメネイ氏が、パレスチナやイエメン、シリアなどでの戦闘を支援すると公言し、平和への努力どころか、戦闘の拡大を示唆するような発言をしたそのわずか3日後のことである。
<合意はどのように実施されるのか> http://www.bbc.com/news/world-middle-east-33594937
BBCによると、合意事項は次のようなスケジュールで実施されるみこみである。
1)9月中旬ーアメリカ議会がこの合意を承認するかどうかの採択が行われる。
2)10月中旬ー合意事項開始 (Adduption day)
3)10月以降ー双方が合意履行にむけた準備を開始する
4)2016年上半期ーIAEAの査察とイランの約束履行確認の上、最初の経済制裁緩和が実施される