先週、シリアで、アルカイダ系スンニ派組織アル・ヌスラ(シリア部)のトップ指導者アブ・ハマム・アル・シャミが,、”空爆”により死亡した。これについては、アル・ヌスラも認める声明を出した。
だれの空爆かだが、アメリカなどの有志軍は、関与を否定。一方、シリア軍が空爆したと主張している。
その後、アル・ヌスラがアルカイダを出たといった噂がながれたが、アルヌスラはこれを否定した。
アル・ヌスラは、反政府勢力の一派として、ゴラン高原のシリア側で勢力を伸ばすスンニ派過激派勢力である。アルヌスラがここを陣どっているので、逆にISISやイラン・ヒズボラなどが、入り込めない状況となっており、危険ではありながらも、もっと悪いものからは守られていた状態だったといえる。
そのアルヌスラの指導者が死亡したことで、アルヌスラの組織全体が不安定になり、そのすきにイランが入り込んでくるのではないかと懸念されている。
実際、ゴラン高原(シリア側)では、今年1月、イスラエルがは、奇襲作戦による空爆で、司令官1人を含むイラン革命軍兵士6人、ヒズボラ6人の計12人を殺害している。
この時、イスラエル軍は、ゴラン高原のシリア側で、イランとヒズボラが、対イスラエルの前哨基盤を新しく設立する動きがあったと説明していた。
そのイランだが、BBCによると、アメリカなどの有志軍はISISを空爆するしかできていない中、イランは、地上軍を派遣して、イラク軍やシーア派勢力を支援していることが確認されている。
イラク軍は現在、有志軍の空からの支援を受けながら、かつてのサダム・フセインの拠点ティクリットを攻撃中で、町の一部はISISから奪回している。そのティクリットで、イランの国旗を堂々とつけて走るイランの戦車が目撃されている。
www.bbc.com/news/world-middle-east-31833592
ネタニヤフ首相は、イランの核兵器の脅威を強調しているが、それよりイランの地上での動きの方がよほど火急な脅威だと批判する記事もある。 http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4633726,00.html
<大丈夫か?オバマ大統領>
アメリカは今、イランとの交渉をすすめようとしていることはこれまでにお伝えしている通りである。
イランが地上で着々と影響力を拡大する中、アメリカは逆に、間接的ではあるが、ISIS撃退のためにイランと手を組む動きすらみえている。
では、仮にイランとともにISISを撃退したとして、その後、アメリカがどのような計画を持っているのかという点については、あまり見えて来ない。したがって、その時には、ISISがいなくなった分、イランの勢力が、中東で大きくなっていたということも大いにありうる。
また、エジプトは、ハマスをテロ組織に指定し、継続してムスリム同胞団などのイスラム過激派の一掃を行っている。先週、シシ大統領はアメリカに対し、「テロとの戦いを進めているのだから、もっと武器を供与してほしい。」との要請を出した。
www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/192380#.VQCsOKW9BCu
これについてのアメリカからの反応は今の所、報じられていない。オバマ大統領は前にも一度、エジプトへのテコ入れ時期を誤り、まんまとムスリム同胞団に関係するムルシ大統領が立ち上がってしまったという結果を経験している。
ところで、エジプトとは地続きのアフリカ大陸では、ナイジェリアで暴虐の限りを尽くしているイスラム過激派組織ボコ・ハラムが、先週、ISISに忠誠を誓う声明を出した。ISISのDNAが飛び火した形だ。
そのアフリカ大陸では唯一、欧米とともにテロと戦っているエジプトの価値は計り知れないと思われる。今、エジプトへの軍事支援すべきとは言わないが、今度は時期を誤らず、大国として、中東、来たアフリカ地域での適切な対応をとっていただきたいところである。