イラン・ヒズボラのあやしい動き 2015.2.13

先月18日、イスラエルがゴラン高原シリア側への空爆で、ヒズボラとイランの戦闘員12人を殺害したが、懸念されていた通り、そのイランとヒズボラが、シリア南部、ゴラン高原イスラエル側に近くに新しい拠点を設立しようとする動きがあると伝えられた。

これを押さえようとしているのがシリア反政府勢力だという。エルサレムポストによると、反政府勢力は、ゴラン高原イスラエル側在住のドルーズを通じて、イランとヒズボラへの攻撃を再度実施すべきだ(つまりは反政府勢力支援)と、イスラエル軍に伝えたという。

www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Syrian-rebels-call-on-Israel-to-bomb-Hezbollah-Iran-Syria-positions-390896

もしこの情報が正しかった場合、放っておけば、ヒズボラとシリアは、レバノン南部に加えてシリア南部にも拠点を持つ事になる。シリア南部の拠点は、まずはISISやシリア反政府勢力を牽制するためと思われるが、将来のイスラエル攻撃の拠点にもなりうる。

イスラエルも諜報機関を最大限に働かせて、早期の情報収集につとめているものと思われる。

<カオス状態のシリア>

ここでシリアがいったいどうなっているのかをみてみよう。シリアの内戦は、もともとアサド大統領に反政府勢力(スンニ派)が対立してはじまったものだった。

そこへ、アルカイダに続いて、ISIS(イスラム国)といったスンニ派の過激派が混乱に便乗して、自らの勢力を拡大するために、”反政府勢力への加勢”という名目で、シリアに入り込んで来た。

するとそこへシーア派のヒズボラとその背後にいるイランが、こちらもまた”アサド大統領への加勢”という名目でシリアに入り込んで来た。

今や、シリアが舞台となって、外国から来たスンニ派VSシーア派という形になっている。すると、国がこうした外国勢に荒らされるのを見て、シリアの反政府勢力が、今度はアサド政権側に立って、アルカイダやISIS、ヒズボラと戦い始めた。

つまり、シリア国内では、今やだれとだれが敵で、だれがだれに対して戦っているのかわからなくなっているということである。

その混乱の中へ、今、オバマ大統領が、ISIS(イスラム国)撲滅に向けて、地上戦を開始しようとして、議会への承認を要請している。シリアにいるのは、ISISだけではない。その他のグループは避けてISISだけ攻撃というわけにもいかない。泥沼にさらなる泥沼に陥る可能性もある。

オバマ大統領、相変わらず重責を追っている。

*ヨルダン軍パイロットが、ISISの捕虜になってから、有志軍への参加を控えていたUAE(アラブ首長国連邦)は、有志軍に戻り、ISISへの攻撃を再開している。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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