<オデッサ暴動・その後>
11日(金)に発生したオデッサでの暴動について、死者は最終的には42人と発表された。死亡したほとんどは親ロシア派だったとBBCは伝えている。
時間がたつにつれて明らかになったところによると、いきさつは、サッカー観戦から出てきた親ウクライナ派に親ロシア派が”けんかを売った”形となり乱闘が始まったもようである。
状況はソーシャルメディアを通じてあっというまに伝わり、親ウクライナ派が加勢にかけつけて、乱闘が拡大。親ロシア派たちがトレードセンタービルに立てこもって応戦する中、火事になったという。
この翌日3日、ウクライナ警察は130人を逮捕していたが、4日、親ロシア派約1000人がオデッサの警察本部を襲撃し、逮捕者の釈放を要求。親ロシア派などれまでに70人が釈放されたもようである。(前回逮捕者は親ロシア派と報告したが、親ロシア派だけではなく双方逮捕されていた可能性あり)
この暴動では、ウクライナの治安部隊が、暴動に対し、何もしていなかったとの報告がある。トレードセンターに立てこもっていたのが親ロシア派だったからかもしれないが、4日、ウクライナ暫定政権のヤツェニク首相は、徹底的な調査するとしながらも、自らの治安部隊を避難する声明を出した。
地元では、今週末にも何かあるのではという懸念が広がっているようである。
<脱出準備するオデッサのユダヤ人コミュニティ:ウクライナ>
www.jpost.com/International/Odessa-Jewish-community-mulls-emergency-evacuation-351334
オデッサには約2万人強のユダヤ人コミュニティがある。今回の暴動での負傷者200人の中にはユダヤ人も含まれていた。また、イスラエルでは、この乱闘の中で、負傷者を助けたイスラエル人医学留学生2人のことが紹介されていた。
事件発生時、ユダヤ人コミュニティの指導者たちは、市内中心部のユダヤ人を郊外に避難させ、週末の礼拝や集会を中止するか、入り口に警備員を配備して防衛対策をを強化した。
ユダヤ人が直接、攻撃の対象になっているわけではないが、ロシアでもウクライナでも、こうした政治不安の中でいつもユダヤ人がはけ口になってきた。
エルサレムポストによると、オデッサのユダヤ人コミュニティはいざというときのための脱出の準備をしているという。たとえば、有事にどの地区へユダヤ人たちを避難させるのかや、隣国モルドバの町(オデッサから車で2.5時間)への避難などである。
ウクライナのユダヤ委員会ディレクターのドリンスキー氏は「できるだけ日常生活を続ける。脱出という事態にならないようにしたい。」と語っている。
<実際に増えているウクライナから帰還>
ウクライナ情勢が悪化する中、4日、ウクライナから、国際クリスチャンエンバシーが移住を支援した19人がイスラエルへ到着した。同団体ではこれまでにユダヤ人11万5000人の移住を支援してきたが、このうち42000人がウクライナからだという。
ウクライナからの帰還者は、クリミア半島がロシアに併合されて以降、急激に増えており、今年初頭から現在までに、762人がイスラエルへ移住した。昨年の同時期は315人だった。