24日、日本の岸田文雄外務大臣が、エリコでの4者(イスラエル、パレスチナ、ヨルダン、日本)協議閣僚級会合出席にあわせて、パレスチナ自治政府と、イスラエルを訪問した。
ラマラでは、アッバス議長に面会。和平交渉再開への動きを歓迎すると表明し、パレスチナ自治政府に8億円の支援を約束した。アッバス議長は、昨年、日本が国連でパレスチナを国として支持すると表明したことに深い感謝を述べた。
その後、イスラエルでペレス大統領に面会し、ヤドバシェムを表敬訪問して献花の後、ネタニヤフ首相にも面会した。エルサレムへの歓迎を述べるネタニヤフ首相に、岸田外相は、いつかはイスラエルへ行きたいと思っていたと伝えた。
ペレス大統領、ネタニヤフ首相は、日本政府が先導して行っているヨルダン渓谷の”平和と繁栄の回廊”農産業パークのプロジェクトを高く評価し、感謝を述べた。
岸田外相は、東北大震災の時に、イスラエルが医療団を派遣してくれたことに感謝を述べ、医療団が、南三陸の人々の心を温めたこと、また両国の友好関係がさらに深まったと述べた。
日本は1952年にイスラエルを国として認め、それ以後、イスラエルとの国交を良好に保っている。昨年国交60周年を迎えた。両国は今後も科学技術などの協力など対話関係強化することで一致した。
岸田外相がネタニヤフ首相の訪日を招請したのに対し、ネタニヤフ首相は、安倍総理にもイスラエルを訪問してほしいと述べた。(安倍総理は、アラブ諸国へは商談目的で訪問しているが、イスラエルには来ていない。)
<日本政府が行っている平和と繁栄の回廊プロジェクト>
Corridor of Peace project(平和と繁栄の回廊プロジェクト)とは、エリコを中心とするヨルダン渓谷に農業のための産業パークを創設し、そこからとれた産物をヨルダンへ移送、湾岸アラブ諸国へ輸出するという計画である。
パレスチナ人がイスラエルを経由せず、直接輸出入ができるようになり、独自の産業としての発展が期待できる。 2005年に当時の麻生太郎外相が提唱。イスラエル、パレスチナ、ヨルダンを説得し、2007年に4者協議が発足、プロジェクトが始まった。
このプロジェクトは、イスラエルとパレスチナ自治政府、ヨルダンと日本の4国が協力して推進しており、パレスチナ人の経済改善だけでなく、地域関係国の友好関係推進を目的としている。
日本はスポンサーとして、農産業パークの灌漑施設や道路整備などの建設を行い、イスラエルはパレスチナ自治政府に農業技術の指導を行っている。ヨルダンには、産物の搬入・搬出の拠点を建設する。
このプロジェクトは来年から始動するとの情報もあるが、本日行われるパレスチナ、イスラエル、ヨルダン、日本からなる4者協議で明らかになると思われる。