シリアとトルコの関係悪化 2012.10.14

先週、トルコがシリア旅客機を強制着陸させた件。最終的に積荷の中には、ロシア製のレーダーが含まれていたことがわかった。

これについてはロシアも認めたが、「レーダーは武器ではないので旅客機に積み込んでも違法にはならない」と主張している。(ロシアは、昨年だけで10億ドル分の武器をシリア政府に売っている。)

トルコとシリアの国境では、シリアの軍用ヘリが飛来し、トルコの戦闘機が急発進するなど、今も緊張状態が続く。シリアは13日、トルコの航空機(民間機含む)がシリア上空を飛ぶことを拒否すると発表。両国の関係悪化が深まりつつある。

<トルコが安保理非難>

トルコは、現在ニューヨークで会議中の国連安保理が、ロシアと中国の反対でシリア内戦に何の介入もできないでいることを非難する声明を出した。なお、昨日、国連シリア問題特使のブラヒミ氏がトルコを訪問したが、大きな進展は期待されていない。

<アルカイダの存在が明らかに:シリア情勢>

シリア内戦が激化している。金曜の激しい戦闘で、反政府勢力が、アレッポ近郊のミサイル空軍基地を占拠した。

この戦闘において、アルカイダメンバーとして著名なジャファット・アル・ヌスラが戦闘に参加していたことが確認された。ミサイルなどハイテク武器がアルカイダの手にわたることが懸念されている。

シリアでは、金曜だけで260人が死亡。そのうち93人はシリア政府軍兵士。一日のシリア軍兵士死亡はこれまでで最大だという。

<たくましいシリア市民>

内戦となり、国外へ難民となったシリア人は30万人。ということはまだ国内に2200万人以上残っていることになる。激戦のアレッポにも市民はまだ生きている。彼らは戦闘の間にもブドウを売り、スリッパを売っている。物価はかなり上がったようだが、市民たちは、生きなければならないのだ。

一方、BBCがアレッポの病院を取材した。ERでは、ひっきりなしに運び込まれる負傷者の間を走り回る医師や看護師がいる。ERの床は血痕だらけ。処置台は2つしかない。ここではけがの治療よりもとにかく命を保つことに全力がそそがれるという。

頭部を大きく縫合されて泣き叫ぶ2才の子男の子。心肺蘇生を受けていた7才の女の子が死ぬとすぐに血まみれの男性が運び込まれる。さながら野戦病院だが、患者は兵士ではなく市民である。今日市場にいた市民が明日は病院で死亡することもおおいにあり得る。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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