混乱の西岸地区:パレスチナ自治政府はハマスを非難・イスラエル軍はジェニン空爆 2025.1.15

(Jaafar Ashtiyeh/AFP)

イスラエルと西岸地区テロ組織の衝突・過激右派ユダヤ人入植者の暴力

ヨルダン川西岸地区は、非常に混乱した状況になりつつある。汚職にまみれたパレスチナ自治政府が、弱体化し、ハマスやイスラム聖戦はじめ、あらゆる過激派組織が横行している。それを摘発するイスラエル軍との衝突で、多数が死亡。IDFに逮捕されつづけている。

スクリーンショット

最近ではドローンによる攻撃や空爆も行われている。多くのテロ組織が拠点をかまえるジェニンでは、1月13日(火)、イスラエル軍は、イスラム聖戦を標的にした空爆を行った。

パレスチナ保健省によると、5人が死亡。2人が負傷したとのこと。

こうした中、それらのテロ組織によるイスラエル人へのテロ事件が、主に西岸地区内で多発しており、先週も、西岸地区入植地在住のイスラエル人3人が死亡した。

以来、過激右派のユダヤ人組織が、もう3回も、復讐だとして、パレスチナ人の村へ放火する事件が発生している。イスラエル治安部隊はこれを無視していると伝えられている。

 

パレスチナ自治政府がハマス非難・テロ組織摘発中

こうした中、妙なことに、パレスチナ自治政府は、「イランのために、ハマスはガザを破壊して、パレスチナ人の利益を犠牲にした。西岸地区で同じことはさせない」として、ハマスの摘発に乗り出している。パレスチナ人同士の戦闘になっており、死者も出ている。

パレスチナテロ組織の多くはジェニンに拠点があるため、自治政府は、ジェニンにも踏み込んでいた。これまでに、280人以上のテロリストを逮捕したとのことであった。

パレスチナ自治政府は、これまで、イスラエルが何度もテロリストの摘発を依頼しても、何もしなかった。

それが今になって、テロ集団の摘発を行っているのは、ガザ停戦後の管理者として信頼できる勢力であることをアピールする狙いがあるとみられている。

国際社会は、ガザが停戦になった後、だれがどのように復興を管理していくかについて、パレスチナ自治政府を主なメンバーにするしかないと考えている。しかし、イスラエルはこれに強く反発している。

www.ynetnews.com/article/sjgg0s4d1x

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。