西岸地区での戦闘・ジェニンで9人死亡:過激ユダヤ人ら放火の問題も 2024.11.22

Palestinian gunmen take part in the funeral procession of a person killed in an Israeli raid on the West Bank city of Jenin on November 21, 2024. (Zain JAAFAR / AFP)

オリーブ山通信で、なかなか追いついていないのが、西岸地区情勢である。

昨年10月7日以来のテロ(西岸地区からのテロリスト)で、イスラエル市民41人と、治安関係者6人が死亡している。このため、西岸地区では、イスラエル国内でのテロを計画しているテログループを未然に防ぐ作戦が続けられている。

IDF soldiers operating in the area of Jenin, the West Bank, November 20 , 2024. (IDF)

最新の情報では、今週、西岸地区でも特にテロリストが多いジェニンで、20(水)、21日(木)と2日間の掃討作戦が行われ、衝突で、パレスチナ人テロ容疑者9人が死亡した。

このうち、3人は、空爆で死亡。6人は銃撃戦で死亡となっている。またその前日19日(火)には、イスラム聖戦の3人が、銃撃戦で死亡していた。

イスラエル軍によると、昨年10月7日以降、ドローン、ヘリコプター、戦闘機による、西岸地区への空からの空爆は、70回以上になるという。パレスチナ自治政府によると、こうした衝突で、パレスチナ人716人が死亡したとのこと。

こうした中、イスラエル軍は、これまでにテロ容疑者5250人が逮捕しており、このうち2050人以上はハマス関係者となっている。イスラエルの刑務所は、手に負えないほど混雑しており、パレスチナ人からは、その中からナクバ(イスラエルへの攻撃)を開始するといった脅迫も出ている。

なお、こうした衝突は、西岸地区全域、24時間ずっとということでなく、危険地域での単発的な戦闘とは思われるが、一旦先戦闘になれば、まさに本格的な戦争の様相になっている。

www.timesofisrael.com/nine-palestinian-gunmen-killed-during-two-day-raid-in-jenin-area-idf-says/

www.timesofisrael.com/israeli-troops-kill-three-islamic-jihad-gunmen-in-west-bank-gunbattle/

Beirut Furik in the West Bank, November 16, 2024.

一方で、西岸地区、イタマルから出てきたとみられる、過激右派ユダヤ人グループが、パレスチナ人居住地を襲撃し、オリーブ畑はじめ、家や車に放火するなどの暴力に出ており、問題となっている。

11月16日(土)、仮面をつけた過激ユダヤ人たちが、ナブルスの近くのパレスチナ人の村で、建物や車に放火し、かけつけたパレスチナ人と投石の応酬となった。

これを止めたのは、イスラエル軍とイスラエルの国境警備隊である。いつものことだが、逮捕者は出なかった。

こうした放火事件は、時々発生している。今年の10月のオリーブ採取時期は、特に危険だと言われたほどであった。

www.timesofisrael.com/west-bank-facing-most-dangerous-olive-season-ever-un-linked-experts-warn/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。