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西岸地区フワラの銃撃テロで父息子死亡
19日(土)、西岸地区ナブルスに近い、パレスチナ人の町、フワラ(人口7000人)のガソリンスタンドで、洗車していたイスラエル人のシェイ・サイラス・ニグレガーさん(60)と、その息子、アビアド・ニルさん(28)が、パレスチナ人に近距離で銃撃され、救急隊が到着して蘇生を試みたが、その場で死亡とされた。
犯人は、徒歩で逃げる様子が、防犯カメラに写っている。イスラエル軍は、直ちに周辺道路を封鎖し、捜査にあたっているが、2日経った今もまだ見つかっていない。ハマスはこのテロを賞賛する声明を出した。
サイラスさん親子は、アシュドドの住民で、散髪、車のエアコン修理など、個人的な所用で、この町に来ていた。しかし、フワラは、今年2月に、西岸地区入植地に住むユダヤ人兄弟(19、21)が、銃撃を受けて死亡した町である。
さらにその報復として、ユダヤ人入植者400人が暴徒となってなだれ込み、パレスチナ人の家屋や車両に放火し、車25台以上が焼失する事態となった。その後も、パレスチナ人と入植者、イスラエル軍との衝突が絶えない、最も危険な町となっていた。
しかし、事件が発生した土曜日は、フワラ近郊のユダヤ人入植者がほとんど動かない安息日であったことから、通常、軍による警備が手薄になっていたという。
なぜそんな危険なところに行っていたのかだが、西岸地区では、イスラエル国内より物価が低いこともあり、あえて西岸地区でショッピングに行くユダヤ人もいるという。サイラスさんの妻は、サイラスさんが、フワラにはしょっちゅう行っており、「あそこにいるのは友達だ」と、フワラに行くことを、恐れていなかった語っている。
サイラスさんの妻リナは、サイラスさんが撃たれる数分前まで、普通に電話で話していたとのこと。来週は結婚20周年を祝う予定であった。
サイラスさんと、その息子のアビアス・ニルさん父息子は、日曜午後、アシュドドに葬られた。家族親族は、突然のこの喪失に打ちのめされており、まだ信じられないと語っている。
西岸地区でイスラエル人車両放火:パレスチナ市民が運転手救助
フワラでイスラエル人父息子が死亡した翌日20日夜、西岸地区シロに近い、パレスチナ人の町トゥルムス・アイヤに、イスラエル人1人が乗った車が、脇道を通って、迷い込んだ。
すると、パレスチナ人の若者たち取り囲まれ、石を投げられたり、車に火をつけられ、大きく炎上した。この時、別のパレスチナ人たちが駆けつけて、車に乗っていたイスラエル人をぎりぎり救出し、到着したイスラエル軍に引き渡した。イスラエル人は軽傷だけですんでいた。
#شاهـد شبان يُشعلون النيران بمركبة مستوطن قرب ترمسعيا شمال شرق رام الله.
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— Newpress | نيو برس (@NewpressPs) August 20, 2023
西岸地区の治安は悪化が続いており、今年に入ってから死亡したイスラエル人は28人。パレスチナ人は173人となった。
今後の紛争が懸念:パレスチナ住民とユダヤ人入植者たち
パレスチナ人の町フワラはナブルスに近いが、複数のユダヤ人入植地にも近く、入植者たちは、フワラを通過しなければならず、いつでも銃撃に遭う可能性がある。このため、フワラを通らないで、入植地に到達できる側道を建築中である。
そんな場所だが、フワラの物価はイスラエル国内より安いので、買い物や特に自動車の修理をしにくるイスラエル人が少なからずいたという。意外にもビジネスでは友人だとサイラスさんが言っていた通りである。
しかし、イスラエル軍は今もまだ、犯人を追って、フワラや周辺の道路を封鎖しており、パレスチナ人たちは町を出入りできなくなっている。今後、イスラエル人顧客が来なくなることもある。経済にも大きな影響が出る可能性もあり、あらたな紛争に発展する可能性が懸念されている。
また懸念されるのは、続くテロ事件で、過激右派入植者グループの動きである。パレスチナ人への襲撃が懸念される。20日には、覆面をしたユダヤ人入植者が、パレスチナ人に投石しようとして、イスラエル軍を衝突。イスラエル軍兵士は発砲してこれを止めると言う事態にもなった。
今後、パレスチナ人だけでなく、ユダヤ人の過激派の動きも懸念される。
www.timesofisrael.com/idf-shoots-wounds-masked-settler-allegedly-hurling-stones-at-palestinians/
石のひとりごと
写真を見れば想像ができるが、サイラスさんは、明るい、親切で、ジョークもいっぱい言うような、おもしろい、普通のおっちゃんだっただろう。そんな夫と、28歳まで育てた息子が急にいなくなった妻のリナさんの喪失の大きさを思うと、年齢が近いだけに胸が痛む思いだ。
確かに、パレスチナ人が殺しているのは、無防備な市民がほとんどである。これに対し、イスラエル軍が残念ながら、殺してしまうことになっているパレスチナの若者たちは、全員、武装しており、テロ決行中か、イスラエル軍への攻撃の時に殺されている。これを同じと考えるのはやはり、間違いである。
実際のところ、市民レベルでは、イスラエル人とパレスチナ人が、生きるために共存できなくもないのかもしれない。しかし、一部の過激派(双方)がそれを不可能にしており、結果的に普通の市民にまで敵対心を植え付けていく。本当に解決がみえない感じである。