パレスチナ人との衝突がエスカレートする昨今、エルサレム市とイスラエル政府の投資(280万ドル(4億円))で、18日、東エルサレムのワディ・ジョーズにビジネスキャンパス、EasTechが開設された。開発は2018年から開始されていた。
ヘブライ大学マウントスコーパスと、オリーブ山、旧市街にかこまれた地域で、アラブ系市民とパレスチナ人も住んでいる産業地域である。
現時点で、120のワークステーションや会議室など、1000平方メートルに及ぶオフィスエリアがあり、すべて無料で利用できるとして、海外のIT企業の誘致をおこなっている。すでにハイテク4企業が、ここで運営を開始しており、プログラマー20人が仕事を開始しているとのこと。
これにより、特にアラブ系イスラエル市民で、IT技術を持つ人々への雇用を拡大することをめざすとしている。イスラエルでは、GDPの25%がハイテク産業から創出される有望な職場となっている。
しかし、イスラエル人口の20%は、アラブ系市民である中、ハイテクで働くアラブ系市民は2%に過ぎないという。ユダヤ人技術者とアラブ人技術者の格差が問題になっていた。このプロジェクトは、その格差を縮める目的で進められてきたものである。
将来的には、巨大なハイテクの拠点「シリコン・ワディ」として、開発をすすめる計画で、1万人の雇用創出が見込まれている。なんとも今の政権が目指すところとは違っているような、妙な感じである。
実際、将来的に、ユダヤ系企業がアラブ人技術者を雇用するのではなく、アラブ系企業がユダヤ人技術者を雇用するといった事態をどう防いでいくのかという問題も見え始めているようである。
特に、地域の治安状態や、強硬右派政権が、これにどう反応するのかも、気になるところである。