ウクライナで活躍する船越真人宣教師夫妻:戦禍でも4人バプテスマ 2023.6.13

船越宣教師より

ウクライナで25年:現地で今も活躍する日本の船越宣教師夫妻

オデーサには、兵庫県加古川市の加古川バプテスト教会から、宣教師として派遣されている船越真人(52)・美貴夫妻(53)が、戦争勃発後も、現地にとどまり、オデーサを拠点に、現地住民への支援とともに伝道活動を続けている。

カホウカ水力発電所ダムの決壊で浸水したヘルソンは、オデーサからも遠くなく、船越宣教師たちとの関係のある教会もあるため、現在、支援活動を開始している。

(以下は3ヶ月前の様子)

船越さん夫妻が、ウクライナへ派遣されたのは、1998年。もう25年も前のことである。以来、オデーサで、教会を開拓し、メンバーの数は、80人を超えるようになった。

教会堂も建て、現地ウクライナ人たちの子供たちが育ち、自立し、結婚していくといった人生の土台にもなるほどに、現地に密着した教会となっていた。多くのウクライナ人献身者も育て、近隣教会とも協力する関係を構築していたのであった。

ロシア侵攻の中で

こうした中、2022年2月にロシアがウクライナに侵攻を開始する。船越宣教師夫妻は、悩み抜いた末、教会員の安全を守るため、一時、ウクライナ西部に、一部の教会員とともに避難する生活となった。

しかし、同年8月には、オデーサに戻り、そこにどどまっていた教会員たちと合流し、対面式の礼拝も再開となった。電力不足や空襲警報、時にドローンによる攻撃などは続いているが、オデーサでは毎週日曜の礼拝は、継続できているという。

このように、オデーサでは、比較的、大きな破壊からは守られていることから、各地からの避難民も多数集まっている。

船越宣教師たちは、アメリカや日本の教会などからの支援を受け、オデーサの教会を拠点に、深く傷ついているウクライナ人を心身ともに支える、さまざまな “HOPEプロジェクト”を立ち上げた。

HOPEオデーサでは、オデーサ住民だけでなく、各地から自宅を追われ、オデーサに来ている避難民たちへの実際的な物資支援などを実施した。

HOPEスクールでは、多くの教育者たちが外国へ避難して教師不足になっている上、電気もなく、オンラインでの授業もまともに受けられない子供たちのために、教会で学びの場、遊べる場を提供している。

また、HOPEソルジャーズでは、危険地域にいる兵士たちへの物資を届けたり、負傷して帰還した兵士たちのこころのケアを行なっている。船越宣教師は、特に帰還兵の心が破壊されており、終戦後にどれほどの被害になっているかわからないと深い懸念を表明している。

船越宣教師の教会からもウクライナ軍に兵役についている男性たちがいる。そのうちのひとり、アントンさんは、軍のチャプレンとして、最前線に出ていたのであった。

また特に被害が大きかった町へ支援物資を届ける働きとして、HOPEニコライエフ、また、冬に向けて、電力不足に陥っていた地域への支援として、HOPEウインターも実施した。

宣教活動の祝福

こうした活動を通じて、オデーサの教会も毎週、満員の中で礼拝が行われている。この5月29日には、男性3人、女性1人のバプテスマが行われた。

*バプテスマ:イエスキリストを自分の救い主(罪を贖ってくれた)と信じて、これからはクリスチャンとして生きるという公の告白の儀式。水に入って、これまでの自分は死に、新しい自分になったと告白する。

これまで教会に来ていなかった人々も教会に来るようになっている。HOPEニコライエフの拠点、マリフカ村では、今年4月のイースター(復活祭)に140人が、マリフカ村やその周辺から集まり、賛美やメッセージを共にしていた(左写真)

 

浸水したヘルソンに向けての働き

今回、決壊したカホウカ・ダムの影響で水没したヘルソンは、ウクライナ南部で、オデーサからそう遠くない。船越宣教師たちは、ヘルソン市から5キロのチェフノバイエフカ教会(セルゲイ牧師)とも協力している。

セルゲイ牧師によると、6月6日の時点で、電気も水もないとのこと。船越宣教師たちは、オデーサ教会の中心的なアンドレイさん、アントンさんとともに、セルゲイ牧師と連絡をとりつつ、その要請に応じて、ゴムボートを届けることになっている。

12日、船越宣教師たちは、ヘルソンのチェルノバイフカ教会、アントノフ教会を訪問し、飲み水などの必需品を届け、オデーサに戻ったとのことである。

精力的な船越宣教師の活動と長男・勇貴さんの合流

船越宣教師は、アメリカのタイトス宣教団体と、母教会の加古川バプテスト教会を中心として、さまざまな教会などからの支援を受けて、活動を継続している。

今年4月、アメリカと日本を訪問した他、ヨーロッパでは、ポーランド、イタリア、フランスと、精力的に車でまわって、ウクライナの現状を、実際に経験していることとして報告を行なっている。

数日から数週間程度、オデーサを離れることになるが、その間は、教会で救われ、献身した人たちがしっかりと教会活動と、支援活動も継続できている。

リーダーがいない間もしっかり教会活動が守られるまでに、教会を育ててきた船越宣教師の働きは、まさに外国で働く宣教師としてのお手本のようである。

またさらに今月、アメリカの聖書大学で学びを終え、宣教師、牧師としても整えられた長男、船越勇貴さんが、オデーサに戻る。

勇貴さんは、オデーサで生まれ、オデーサで育った。生粋のウクライナ青年といっても過言ではない。当然、ウクライナ語も堪能だ。これから家族揃って、ウクライナで、主に与えられた働きを続けていくことになる。

ウクライナのニュースはこれからも毎日、出てくることだろう。そのたびに、日本人の船越宣教師家族もそこで活躍していることを覚え、お祈りに覚えていただければと思う。

ウクライナのための祈り:船越宣教師より

以下は、船越宣教師が、ウクライナの祈りとして、各地で伝えている祈りである。

「この2023年がウクライナにとって帰還と回復の年となりますように。
兵士たちの家庭への帰還、捕虜たちの祖国への帰還、難民たちのふるさとへの帰還

ウクライナの大地の回復、ウクライナの尊厳の回復、被占領地の自由の回復

すべて傷ついている者たちの癒しと回復
すべてのウクライナ人の外出禁止時間も空襲警報もない、日常の回復

屋外へ自由に出られる喜びの回復、子供たちの大切な子供時代の回復、愛する親たちの穏やかな日々の回復
孫たちが休みになったら、大好きなおじいちゃん、おばあちゃんのところに、安全にあそびに行くことができますように

ヘルソンのスイカを、メリトポリのサクランボを、みんなで笑顔いっぱいに、頬張れる日が戻ってきますように

世界がウクライナを忘れることがありませんように
ウクライナのすべての町々が無事に解放されますように

神の恵みが、この苦しみのときに私たちを支え、世界がウクライナで起こる神の救いを見ることができますように

キリストの教会が、希望の光で輝くことができますように
人々が本当の希望、唯一の救いであるイエス・キリストを知ることができますように
キリストに、キリストだけに栄光が、ウクライナに主の平和と祝福がありますように。

*船越宣教師の働きに支援を希望される場合は以下へ

支援先:加古川バプテスト教会 ①銀行口座=西兵庫信用金庫 加古川北支店 017 普通 0140532 加古川バプテスト教会 代表役員・梅谷悟 ②ゆうちょ銀行=記号14340 番号63568231 他銀行からの振り込みの場合 店番 438 普通 口座番号 6356823

 

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。