過越のセデルでは、ハガダという冊子をともに読みながら、出エジプトの解放の時を確認し、ともに祈り、歌いながら食事し、夜を共に過ごす。しかし、これまで、ウクライナで使われていたハガダはロシア語のみで、ウクライナ語によるハガダは存在していなかった。
ロシアとの戦争が始まってから2回目の過越を迎える今年、ウクライナ語によるハガダ、「私たちの自由のために」が登場した。翻訳は、ハバッド派のマイケル・スタノバ氏である。
ウクライナでは、ロシア帝国による支配の間に、多くの人々がロシア語を使うようになった。ウクライナのユダヤ人社会はその前のウクライナ帝国時代に反映し、ハガダなどはイーディッシュ語(ユダヤ教独自のヘブライ語も少し入ったような独自の言語)が使われていた。
しかし、ユダヤ人もロシア帝国下で、ロシア語を使うようになり、ユダヤ教関連の文書は翻訳される時には、ロシア語が使われてきたという。そのため、これまでウクライナ語のハガダは存在していなかった。
今、ロシアとの戦争になり、ウクライナではウクライナ語を使うことが奨励されたことから、ユダヤ教の間でも、ウクライナ語への翻訳が進められている。
興味深いことに、ウクライナ語では、hの発音の代わりにgの発音が入ることから、ハガダではなく、ガガダと言っていたそうである。そうしたさまざまな課題を乗り越え、今年、ウクライナ語のハガダが、完成したという。
スタノバ氏は、ハガダの翻訳を、既存のロシア語ハガダからではなく、言語ヘブライ語、アラム語のハガダから翻訳したとのこと。これもまたロシアからの独立とみられている。
www.timesofisrael.com/the-first-passover-haggadah-in-ukrainian-marks-a-communitys-break-with-russia/