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イスラエルでは、イスラエル軍の方針を指導するガラント防衛相は、先週、ネタニヤフ首相に解任されたままである。
復帰が求められているものの、まだ政府から正式な返事はなく、宙ぶらりんの状況にある。しかし、状況の緊迫から、実質的には防衛相の任務を遂行しているという、非常にやりにくい状況に置かれている。
こうした中、5日日没(日本時間5日夜)からは、イスラム教ラマダンに重なる形で、過越の祭りが始まる。
その直前となった今、イラン情勢、パレスチナ情勢とあらゆる方面で、緊張が高まっている。ここでは、シリア・イラン情勢を伝える。
シリアへの空爆でイラン革命軍司令官2人死亡
イスラエルとイランは、ここ数年、すでに水面下での戦闘状態にある。しかし、最近になって、イランのシリアへの進出が著しくなってきたのか、首都ダマスカス、その空港やアレッポ国際空港など重要な地域へのミサイルによる空爆の回数が増えていた。死傷者も多数出ている。シリアは、これらがイスラエルによるものと断定している。
3月30日からは4日の間に3回の空爆が行われた。この攻撃で、イラン革命軍顧問のミラッド・ヘイダリーが死亡。同じくイラン革命軍顧問のマクダッド・マクダニもこの攻撃で負傷し、その後、死亡した。イランも、これをイスラエルによるものと断定し、報復を警告している。
この3回の攻撃については、先月13日に発生した、ヒズボラ(イラン傀儡)によるとみられるイスラエル国内でのテロへの報復であるとみられている。
この事件では、レバノンから、防護壁を梯子を使って乗り越え、イスラエルに入った男が、メギドの交差点に爆弾を仕掛けて爆破させた。この時に交差点を車で走っていたアラブ系イスラエル人、シャリーフ・アド・ディンさん(21)が重傷を負った。
www.jpost.com/breaking-news/article-734403
この数時間後、容疑者が逃亡に使ったとみられる車が、レバノンとの国境付近でみつかり、特殊警察ヤマンが、容疑者の男を射殺した。残された車両からは、ほかにも攻撃用の武器が見つかっていた。
イスラエルの戦闘機が未確認飛行機撃墜:イランか?
2日、シリア方面から所属不明飛行機が国境を超えて、イスラエル領空へ入ってきたことから、イスラエル空軍の戦闘機が発進し、ガリラヤ湖北部の無人地帯上空で撃墜した。現在、残骸から調査が進められているが、軍はイランの飛行機とみているとのこと。
シリアのメディアによると、この1時間ほど後には、ダマスカス近郊の空港で爆発が発生していた。
シリアで攻撃を受けている地点は、イラン傀儡ヒズボラのドローン製造工場や、無人航空機、その中継基地点、連絡用車両などで、シリア国内で、イランが活発に動いており、イスラエルとの国境に近づきつつあるのではないかとみられている。
今にはじまったことでなく、これからも続く?:軍事専門家
イランとイスラエルの対立は、表で首脳が非難しあうわけではなく、水面下で戦っている形である。エスカレートしているが、表立っての戦争にはみえないように続けられている。
元イスラエル軍諜報部ヨシ・クパワッッサー氏は、イスラエルがこれほどの攻撃を行っているにもかかわらず、ロシアも他のアラブ諸国も動く気配がなく、今の所、黙認しているような動きに注目する。アブラハム合意などで、イスラエルの中東での立ち位置が変わっているとのこと。
イスラエル治安研究所のオール・イサカル氏は、この対立は、これまでの戦争のように、どちらかが勝利をおさめて終わるような形のものではないと語る。
宗教的な要素がからんでいることもあり、イランはいくら攻撃されても、シリアのイスラエルとの国境付近に基地を作ることをあきらめないであろうし、イスラエルが、それを許すことはない。これからも対立は長期間続いていくだろうとのこと。