目次
西岸地区アリエル市でのテロ
15日朝、パレスチナ人が、西岸地区で最大のユダヤ人地区、アリエル市産業パーク入り口の警備員(36)の首を刺して重傷を負わせた。近くにいた警備員は威嚇射撃をしただけだったので、パレスチナ人は逃亡。近くのガソリンスタンドで、2人(2人とも40代)を殺し、1人(40代)に重傷を負わせた。
車を盗んで5号線へ出て、別の車に突っ込んで1人(50代)を殺害。高速道路上で、一人(35)を刺して重傷。続いて別の車で、対向車線を走って、複数の車と衝突し、車を出たところで、イスラエル兵と近くにいた民間人に射殺された。20分ぐらいの間の出来事であった。
テロリストは、アリエルに近いパレスチナ人の村、ハレスに住むモハンマド・ソウフ(18)。前科はなく、アリエル産業パークで働いていたため、出入りは自由だった。(写真)
犠牲者は3人の父親
今回、犠牲となったのは、ミハエル・ラディギンさん(36)。5年前に家族とともにイスラエルへ移住してバット・ヤム在住。妻と幼い2人の子供が遺族になった。タミール・アビハイさん(50)。
2人目はモティ・アシュケナジさん(59)ヤブネ在住で、西岸地区にガスを運送する仕事をしていた。妻と3人の子供。2人の孫が遺族となった。3人目は、タミール・アビハイさん(50)入植地キリアット・ネタフィム在住。6人の子供の父親。テロリストが車で突っ込んできて死亡した。
これでイスラエルが黙っているはずはなく、また西岸地区でイスラエル軍との衝突になるだろう。事態はまたエスカレートすることになる。
今年1月から、パレスチナ人テロにより死亡したイスラエル人は26人。これを受けて、イスラエル軍がほぼ毎日、テロリスト摘発に西岸地区の主にナブルスやジェニンへ入るようになっている。テロ決行中に射殺されるか、イスラエル軍との衝突中に死亡したパレスチナ人は、合計130人。逮捕者は2000人に上っている。
www.timesofisrael.com/father-of-six-identified-as-one-of-three-killed-in-west-bank-terror-attack/
次世代パレスチナ人の間に新たなテロの流れ:ライオンズ・デン(獅子の巣)は終わらない
パレスチナ人社会では、今大きな新しい動きがみられている。先月、頭角を表した30人ほどのグループ、ライオンズ・デン(獅子の巣)である。
ライオンズデンは、10代20代前半の若者たち30人ほどのムーブメントで、ファタハ(PA関連)、イスラム聖戦、ハマス、すべての組織に属する者たちが混在していた。どの組織からも指示は受けていない。
その動機はお金でもなく、宗教でもない。ただ政治的に、独立安定したパレスチナの国への歩みを求めている。したがって、ハマスなどの組織は、パレスチナ市民のために、一致するべきだと訴えている。拠点は、西岸地区北部のナブルスである。
自治政府は、この動きを危険とみなした。このため、イスラエル軍とともに厳しく対処した。このため、戦闘で10人は死亡。イスラエル軍は、そのリーダーの一人、ムサブ・シュタイエを含む8人を逮捕。自治政府も2人を逮捕した。
その後、ライオンズデンは、2-3人を除いて、パレスチナ自治政府に投降したことから、一応このグループは終わったと宣言された。
しかしライオンズデンは、パレスチナ市民の間では、ヒーローとしての位置付けになっている。人数も実際には30人ではなく、もっといたとみられることや、まだ自治政府に投降しようとしない数人が、市内にいることから、ライオンズデンが終わったかどうかはわからないと懸念されている。
今回のテロ事件が、ライオンズデンによるものかはまだ不明だが、この事件を受けて、イスラエル軍はまたさらに厳しい対応をとるだろう。すると、パレスチナ人たちもまたそれに反発し、事態はエスカレートしていくとみられる。
まさに終わりなき戦いである。