オデーサ地域ミサイル攻撃18人死亡:NATO首脳会議閉幕直後 2022.7.1

Ukrainian Emergency Service via AP

オデーサ地域アパートへミサイル攻撃

1日明け前、ウクライナ南部の港湾都市オデーサ地域の9階建てアパートに、ロシアによるミサイルが直撃。子供2人を含む少なくとも18人が死亡、30人が負傷した。ビルは破壊され尽くした様相である。

ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ東部での制圧を優位に進めており、まだ戦いを終える様子はない。そうした中で、11月のG20に出席する意向を表明。G20は、ロシア抜きではありえないと言っている。

しかし、アメリカなどは、G20にゼレンスキー大統領を迎えてロシアは出席させない意向である。

こうした中、30日、議長国であるインドネシアのジョコ大統領が、モスクワのクレムリンで会談した。

ジョコ大統領は、この時、ゼレンスキー大統領からの手紙をプーチン大統領に手渡したと言っている。11月のG20をめぐって、インドネシアがロシアとウクライナの仲介に意欲をみせていた。

www.nikkei.com/article/DGXZQOGN30F0Q0Q2A630C2000000/

18人の死亡が明らかになったオデーサへの攻撃は、それからわずか数時間後ということである。

G20に出席すると言いながら、18人以上もの人々の命を奪うとは、本当に理解不能だが、この攻撃はまた、NATO首脳会談がロシアへの対立意識を鮮明にして、閉幕した直後でもあった。プーチン大統領の返答のようでもある。

NATO首脳会議閉幕:新たな冷戦ドクトリンの始まり

日経新聞https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB183JK0Y2A510C2000000/

6月28―30日、今、ロシアが敵視しているNATOの首脳会談が、スペインのマドリードで開催され、今後10年の戦略概念が話し合われた。

この会議で、ロシアとの連携という幻想は捨てる、つまりロシアを敵対国と認識することが確認されたとのこと。

さらに、有事の際(つまりロシアなどから加盟国への攻撃)

に動ける部隊を7倍のすることや、東部にアメリカ軍の司令部を情勢つするなど、本格的なロシアとの対戦に備えるかのような体制が発表された。

また、北欧2国(フィンランド、スウェーデン)の加盟に向けた手続きを開始することとなった。ファイネンシャルタイムスの記事を載せた日経新聞は、「冷戦期のドクトリン復活」と伝えている。

www.nikkei.com/article/DGXZQOCB010X40R00C22A7000000/

オデーサへの攻撃は、こうした動きの直後に発生したということである。プーチン大統領からの返答のような感じである。

なお、今回は、中国の脅威にも備えるなど他の課題もあったころから、加盟30カ国の他、日本、オーストラリア、ニュージーランド、韓国と、NATO加盟予備軍のスェーデンとフィンランド、ジョージアも参加していた。

なんとも、第三次世界大戦勃発前のきな臭い感じに、底知れぬ不安を覚えるところである。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。