目次
3月25日ウクライナ情勢まとめ
1)民主主義陣営がロシアを前に結束をアピール
西側諸国が、24日、ブリュッセルで、NATOの枠組みで30カ国が集まったのに続いて、G7首脳会議が行われた。ウクライナへの平和維持軍派遣といった案もでていたが、その話は出ていない。しかし、ヨーロッパ各国は、次々にウクライナへの武器支援を表明している。
首脳たちは、新たな経済制裁を行うことで合意し、強固な結束を確認した。ロシアの化学兵器使用時について、バイデン大統領は、具体的なことには言及しなかった。
バイデン大統領は、この後、ポーランドに移動。ウクライナ国境から70キロのジェシェフを訪問してドゥダ大統領と会談する。NATO強化として、ポーランドに追加派遣されているアメリカ軍の視察も行う予定である。
NATOはその軍を4万人まで増やすとしており、その4分の1がポーランドにいるとのこと。
ニューヨークでは国連総会で、敵対行為の即時停止や、人道支援、安全確保を求める決議案で、140カ国が賛成。ロシアなど5カ国が反対。中国、インドを含む38カ国が棄権(前回より3カ国増加)で、採択された。
今起こっていることの図式は、NATO西側諸国が、ロシアのプーチン大統領の前に集まってにらみかえすようなものである。果たしてロシアはどう出てくるのか。こうした状況になったのは、かつて世界の警察官だったアメリカの権威が落ちていることを反映しているといえる。
2)ウクライナ軍反撃で一部ロシア軍撤退の様相も危険性は増大
ウクライナ情勢は、今もなお厳しい状況が続く。テレビでも報じられているように、マリウポリの上空からの光景は、まさに灰と化した町であった。
しかし、ウクライナ軍とウクライナ市民は高い指揮を維持しており、ドローンを使ってロシア軍への攻撃を行っている。キエフでは、ロシア軍が撤退している様子も報告されている。ヘリソンでは、市民が集団でロシア軍車両を、押し戻す様子もある。
南部では、ロシアの大型揚陸艦の破壊にも成功している。しかし、ロシア軍は東部ルガンスク州で、白リン弾という、空中で細かく散らばり、火傷させるような悪質な爆弾を使っているとゼレンスキー大統領が警告を発しており、今後、プーチン大統領生物化学兵器、核兵器を使う可能性は続いている。
また、ロシアが、ウクライナの東南部への侵攻に主眼を置いているとの見方があり、次にはオデッサへの侵攻が懸念されている。
NHKの随時更新ニュースによると、23日までに死亡したウクライナ市民は、少なくとも1035人。このうち、90人は子供となっている。。空爆や、爆弾での死亡とのこと。負傷者は1650人。*マリウポリでの死亡は確認できていない。
家を失った人は1000万人以上で、国外へ脱出したウクライナ人は、430万人(NYT)。ユニセフによると、ウクライナの子供の半数以上が家を追われて難民となっている。
多くのウクライナ人、特に高齢者たちにとっては、第二次世界大戦中、ナチスが来て500万人を殺害していった時代を彷彿とさせているとNYTは伝えている。
www3.nhk.or.jp/news/html/20220325/k10013550381000.html
3)ウクライナ人40万人が捕囚か(ウクライナ政府がロシア非難)
恐ろしいばかりの被害が報じられているマリウポリでは、ロシア軍が市民をロシア領内へ連れ去る動きがあるが、これまでに1万5000人がロシアへ搬送されたとみられる。連れ去られた難民たちは、ロシアによる人道支援を受け、プロパガンダに使われているとのこと。
しかし、Times of Israelが最新情報として伝えたところによると、これまでに40万人にのぼる市民が、強制的にロシアに連れて行かれたとウクライナ政府が発表。ウクライナに対する人質にしていると、ロシアを避難した。
もし本当であれば、バビロン捕囚を想像してしまうところである。。
www.timesofisrael.com/liveblog-march-25-2022/
プーチン大統領、ゼレンスキー大統領と電話で停戦仲介の試み:ベネット首相
独特の中立の立場にあるベネット首相だが、NATOの首脳たちが集まる動きにある中の23日、9日ぶりにプーチン大統領と電話で話をした。
プーチン大統領は、ベエルシェバでのテロで、イスラエル人4人が犠牲になったことについて、遺憾を表明したとのこと。
電話会談の具体的な内容は不明だが、ベネット首相が、キエフに行ってゼレンスキー大統領に会って話をする準備を指示したとの情報もあり、なんらかの情報交換はあったのだろう。
www.jpost.com/israel-news/politics-and-diplomacy/article-702113
また、ゼレンスキー大統領が明らかにしたところによると、ここ数日の間に、イギリスのボリス首相など服数の首脳と電話会談したが、その中にベネット首相も含まれていたとのこと。
ベネット首相がゼレンスキー大統領と話したのは、プーチン大統領と電話で話た翌日だったとのこと。
www.timesofisrael.com/zelensky-speaks-again-with-bennett-amid-israeli-mediation-efforts/
ベネット首相の仲介の内容は不明だが、ウクライナの参謀総長で、ゼレンスキー大統領の側近、上級補佐官アンドリー・イエルマク氏(写真)が、イスラエルのジャーナリストたちとのズーム会談で、ゼレンスキー大統領とプーチン大統領の首脳会談が実現するとしたら、エルサレムがよいとの考えを明らかにした。
これについては、以前からも話があるが、プーチン大統領は、まだまったくその気にはなっていない。しかし、来週、アメリカのブリンケン国務長官が、イスラエルを訪問することになっており、なんらかの動きがあるのかもしれない。しかし、まだ想像の域を出ない。
www.timesofisrael.com/top-zelensky-adviser-jerusalem-is-a-priority-venue-for-russia-ukraine-talks/
補足になるが、アンドリー・イエルムク氏は、自身もゼレンスキー大統領と同じユダヤ人で、親族は1941年にバビ・ヤールで、ナチスに殺されたとのこと(3万3000人以上2日間で銃殺された穴)。「ユダヤ人は抹殺の危機を知っている。今は、ウクライナがイスラエルだ。」と語った。
側近として語るゼレンスキー大統領は、暗殺の危険性がつきまとっているにもかかわらず、毎日4-5時間は寝て、指揮にあたっているという。集中力、判断力共に維持しているとのこと。
ベネット首相の仲介への懸念
ベネット首相が、ウクライナ問題で仲介していることについて、イスラエル国内では、懸念する声も大きい。プーチン大統領と近すぎることと、ベネット首相の仲介の結果、プーチン大統領に少しでも有利な点が残った場合、ベネット首相、ひいてはイスラエルへの非難、攻撃につながっていく可能性があるからである。
ベネット首相の仲介。かなりのリスクをともなう動きであると言うことである。
そのベネット首相だが、国会に指示議席はわずか4議席しかない。しかし、その4議席がなければ連立政権にならなかったために、選挙での勝利の鍵の一つになったことで政権入りを果たしたのであった。さらには、ラピード外相との2頭政府において、先に首相になったという経過で、今、首相になっているのである。
コロナに続いて、ウクライナでの戦争と、これほどの激動の時代に、主があえてベネット首相を立てたとしか考えられない。ベネット首相の上に絶えず主の御手があることを覚え、導きを祈りたい。