日本では、BFPのチームが、長年、ウクライナにいるユダヤ人のイスラエルへの移住を支援していたことが知られているが、こうしたクリスチャンシオニストたちの地道な努力を、イスラエルのメディア、Times of Israelが最近時々記事に取り上げている。
以下の記事では、クリスチャンシオニストたち20人からなるグループ(Christians for Israel)で働いてきたナタリア・クリシャノブスキーさん(60)が取材されている。
ナタリアさんは、今、キエフ近郊から、ユダヤ人家族を車に乗せて脱出し、モルドバへ向かう車両に引き継ぐ働きをしている。ユダヤ人たちはそこからバスでモルドバへ向かう。
このグループは、過去25年の間に何千人ものユダヤ人のイスラエルへの移住を支援してきた。特に2014年のロシアによるクリミア半島制圧以降、いつか今のような事態になると考えながらこの日に備えていたという。
2月24日にロシアの侵攻が始まると、グループは、多くのミニバスをチャーターして、ユダヤ人の避難に備えた。
しかし、ユダヤ人たちが、すぐにクリスチャンたちを信用してそにバスに乗るということは難しい。特に、現地でユダヤ人たちを支援している超正統派ハバッド派のラビたちは、クリスチャンたちが、ユダヤ人を改宗させようとしているとして警戒している。
そこで、このグループは、友人を通じて、ハバッド派ラビでオランダの主席ラビから、「この人々は危険ではない」という保証をとりつけて、今の救済活動を開始。モルドバとルーマニアまでバスに乗せてユダヤ人をウクライナから退避させ、そこからはユダヤ機関が、彼らをイスラエルへの移住へと導いている。
ナタリアさんは、この働きは、人道支援ではなく、神の働きであると語る。
エレミヤ書1:14には、北からこの地の全住民の上にわざわいがふりかかると警告しており、ナタリアさんは、今がその時だと考えているということである。
また、ナタリアさんは、戦火の中で働いて恐怖を覚える時、詩篇91を読むと語っている。
クリスチャンたちが、聖書に基づいて、イスラエルを見ていることが、ユダヤ人たちにも伝わりつつあればと思う。現地で働くクリスチャンたちの上に守りと祝福があるように。逃げようとしている人々が、ナタリアさんたちに出会い、クリスチャンたち、その背後におられるキリストの印象がかわるきっかけになればと祈る。
<石のひとりごと>
クリスチャンがユダヤ人だけを救出するという点に、違和感や反発を感じる人もいるかもしれない。人種に関係なく救出することは重要な点である。
しかし、ユダヤ人たちは、かつて、キリスト教徒と自称する人々に迫害され、殺された長い歴史がある。このため、ユダヤ人とキリスト教徒の間には、まだまだ深い不信の壁がある。それを改善する道は、実質的な愛しかない。そこに特別に重荷を持っているというのが、この人々である。
このように、命懸けで、ユダヤ人を助けた人々のことは、ユダヤ人たちは、よく覚えている。ホロコーストの時代にも多くのキリスト教徒が、自分の命を顧みず、報酬は全く受けず、かつ、自分自身は、政府に加担して血をその手につけずに、ユダヤ人たちを救出した。
この人々を、ユダヤ人たちは、「義なる異邦人」として覚えている。いつかは、イエス・キリストが彼らを愛しているということが伝わればと思う。