アパート全倒壊も30時間前に住民脱出で全員無事:テルアビブ郊外ホロン 2021.9.13

写真:イスラエル消防局

12日、テルアビブ郊外ホロンにあるアパート群の中の1棟が倒壊し、完全な瓦礫と化した。前兆があり、住民はその30時間前に全員脱出して無事だった。6月にフロリダ州でマンションが倒壊し、98人が犠牲となった教訓が活かされたといえる。

崩壊直前に発見されたひび
イスラエル消防局

11日土曜、テルアビブ郊外の町ホロンのアパートで爆発音があり、調べたところ、アパートの入り口付近の壁に穴が空いてた。また、ビルへの入り口の戸が開かなくなっていた。

警察と消防は、このビルが崩壊するかもしれないとして、専門家にも相談。直ちにアパートの住民30家族全員をビルの外へ避難させ、周辺の通りも閉鎖した。

警察の指示は「ただちに避難」との早急な指示であったため、住民はまったくなにも持たずにとりあえず出た。取りに行くことが許されたのは、命に関わる薬だけだった。崩壊の様子をみると、洗濯が干したままの部屋もある。

警察は、「倒壊するまでどのぐらかかるかはわからない」と言ってたという。住民はそのまま公民館で夜を明かすこととなった。アパートが倒壊したのは、その30時間後であった。アパートは文字通り、瓦礫の山と化した。

非難した住民たちは、命は助かったものの、本当に何も持たずに逃げていたため、いまや何もない、ホームレス状態である。2人の娘の母親であるモラン・コンフィーノさんは、このビルに15年住んでいたという。人生のすべてが失われたと途方にくれている。

また、アパートは相当古く、裕福な人が住んでいるアパートではない。Times of Israelによると、被災者の中にはホロコーストサバイバーや、癌で終末期を迎えている人、1歳の赤ちゃんを抱える母子家庭もいるという。

今、被災者たちは、親族の家に身を寄せたり、ホテルにいる家族もある。文字通り何も持たずの出ただけなので、とりあえず市は、住居がみつかるまでの支援を行う。

映像を見る限り、同様のアパートが隣接して立っている。周辺ビルの住民も一部はまだ非難している。消防は他のアパートの検査も進めるとのこと。

www.timesofisrael.com/we-have-nowhere-to-go-residents-of-collapsed-holon-building-left-destitute/

なお、イスラエルの古いアパートの多くは、一階部分が、駐車場で、その上のアパート全体が、細い足で支えられているという建て方が多い。建国73年が経過した今、国としても大きな課題の一つである。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。