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銃撃テロ被害者ユダヤ人イェフダ・グリッタさん(19)死亡
2日、西岸地区北部、ナブルス近郊のタプアハ・ジャンクションのバス停で、通過する車からの銃撃テロで、ユダヤ人学生ら3人が負傷した件はお伝えした通り。そのうちの一人、イェフダ・グリッタさん(19)が、5日、搬送先の病院で死亡した。
負傷した3人のうち、ツファット出身のアミハイ・ハラさん(19)は、軽症であったため回復して帰宅。ベイト・シャン出身のベナヤ・ペレツさん(19)は、上半身を撃たれて、今も重症である。
www.timesofisrael.com/student-shot-in-west-bank-drive-by-shooting-dies-of-injuries/
事件後、イスラエル軍は直ちに部隊を強化し、犯人の捜索を開始した。まもなくナブルス近郊で、犯行に使われたとみられる車両を発見したが、車両は、パレスチナ人らによるとみられ、炎上中だった。その後、複数の容疑者が逮捕されたが、まだ公表には及んでいなかった。
しかし、イェフダさんの死亡が公表された5日、シンベト(国内治安機関)は、それから1時間もたたないうちに、西岸地区北部のタルムス・アヤ在住の容疑者マンタシール・シャルバイ(44)を逮捕したと発表した。早期の発表により、西岸地区での入植者とパレスチナ人との衝突拡大を防ぐ狙いがあったとみられる。
エルサレムポストが伝えるところによると、シャルバイは、アメリカの市民権を持っており、いわば帰還したパレスチナ人である。シンベトは、シャルバイの妻と息子(17)も逮捕したが、妻はすでに釈放されているとのこと。
ユダヤ人入植地過激派の復讐:パレスチナ人サイード・オデーさん(16)死亡
今回、テロの被害を受けた3人の若者は、入植地の住民ではないが、今回のテロ現場に近い、ユダヤ人入植地イタマルのイシバ(神学校)で学ぶ学生であった。
事件発生の翌早朝、まだ明け方の暗いころ、ユダヤ人入植地シロの住民が、3人の復讐だとしてパレスチナ人の村ジャブドを襲撃。投石や火炎瓶を投げ、放火するなどしたため、両者の間に暴力的な衝突となった。イスラエル軍が間に入り、暴動を止めようとしたが、パレスチナ人4人が負傷した。この衝突で、パレスチナ人11人が逮捕された。入植者の方に逮捕者は出ていない。
以後も入植者らによるパレスチナ人村への復讐とみられる襲撃が散発。ナブルス近郊のパレスチナ人村ベイタでの衝突で、パレスチナ人サイード・オデーさん(16)が死亡した。もう1人の少年が重症になっているとの情報もある。イスラエル軍側に、オデーさんを銃撃したという報告はないため、軍は、詳しく調査すると言っている。
石のひとりごと
まだ若い10代の若者たち2人が犠牲となった。家族の苦しみを思わされる。
パレスチナ人の多くは、パレスチナ自治政府の堕落に辟易としている人もいる中でのテロ事件。テロに及んだとみられるシャルバイは、アメリカからの帰還パレスチナ人だという。
海外にいて現地の腐敗ぶりが見えていなかったどうかは知る由もないが、真剣にパレスチナ人のために正義感を持ってユダヤ人たちを襲ったのだろうか。
ナチ・ファシズムの時代、ごく普通の善良な市民が、真剣に国のためにしていると信じる時、命令なしでも忖度と、責任回避の無意識の大きな喜びをもって、極端な犯行に及ぶ可能性があることを学ぶことができる。
ちょっと冷静に考えれば明らかなことなのだが、本人には見えなくなっていて、そのうち、そのまま止められなくなって、他者だけでなく、自分自身をも破壊してしまうのである。
パレスチナ人の場合、今のところ、優れたカリスマ的リーダーがいないので、ナチス時代のようなファシズムにはならないだろう。しかし、土地を奪い、占領を続けている宿敵イスラエルを追い出すという目標がリーダーになるということはあるうるだろうか。
パレスチナ人自身が言っていたことだが、宿敵イスラエルという認識の元では一致があるので、イスラエル人への暴力は、いかに恐ろしい暴力であっても、社会の中で正当化されてしまうとのことであった。
しかし、これは、逆に言えば、イスラエルこそが、約束の地を支配するものだと信じるユダヤ人過激派にもそのまま言えることであろう。
そういう大きな流れに流されないように、現地の若者たちをとりなすということは、一種の霊的戦いかもしれないと思う。
今、西岸地区、東エルサレムで、希望が見えない中にあるパレスチナ人の若者と、ユダヤ人過激派の若者たち、イスラエル軍兵士たちと、今三つ巴で争っている人々を覚えてとりなしが必要になっている。
ところで、今の西岸地区に展開するイスラエル兵たちを見ると、マスクをしていないことがわかる。
コロナには勝った。しかし、西岸地区にテロと戦争が戻ってきて、もう戦いに駆り出されている兵士たち。司令官たち。コロナは悪かったのか?ひょっとして、コロナに守られていたのか?という妙な気にもなってしまうところである。。。