イランが核合意逸脱を可能にする法案を可決 2020.12.7

イラン・イスラム最高指導者・ハメネイ師 スクリーンショットhttps://english.khamenei.ir/news/8151/Those-who-hoard-nukes-tell-Iran-not-to-have-ordinary-missiles

イランでは、トップ核科学者の暗殺の後、報復が懸念され、今も国交が始まったばかりの湾岸諸国ですでに旅行しているイスラエル人に、警告が発せられている状況にある。

しかし、幸い、今の所、大きな部力衝突は発生していない。しかし、イラン政府は、もし2ヶ月以内に、経済制裁が緩和されなければ、以下の動きに出るという法案を可決した。

その内容は、①ウランの濃縮を20%(合意では3.67%)まで上げる、②ナタンツとファルドーの核開発施設に最新の遠心分離機を導入する、③国連の査察を拒否する、となっている。

これについて、ロウハニ大統領は、イランの孤立を深めるとして反対したとのことだが、法案になったもようである。その懸念どおり、これは、バイデン氏が、”イランが合意を遵守するならば”核合意へに戻ることを示唆したことを、完全に拒否した形といえる。

なお、核兵器には90%の濃縮ウランが必要なので、まだ20%では、兵器にはとどかないものの、20%まで行くと一気に90%にまで行く可能性が出てくるとのこと。また、平和利用だけであれば、3−5%でよいので、20%は明らかに平和利用を超えた目的があるということになる。

time.com/5917479/iran-uranium-enrichment/

www.bbc.com/japanese/55168753

<ハメネイ最高指導者が息子に引き継ぎか??>

一部のメディアにすぎないが、イランで最も大きな影響力を持つ、イスラム最高指導者ハメネイ師(81)が、4日、体調不良のため、ロウハニ大統領との会談をキャンセルした可能性がある。

ハメネイ師は、前に前立腺の手術を受けており、癌である可能性もあるという。こうなると後継者が問題になるが、最可能性が高いんのは、息子のモジタナ・ホセイニ氏(51)に、その立場を譲ったのではないかという情報がある。

ホセイニ氏も、西側には強硬的であるとのこと。しかし、まだ確実な情報ではなく、北朝鮮のキムジョンウンのように、メディアの憶測だけで終わる可能性もあり、まだ大きなニュースにはなっていない。

www.jpost.com/middle-east/if-irans-khamenei-must-step-down-who-will-replace-him-651279

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。