ガザとの衝突激化:スデロットで家屋に被害 2020.8.17

被害を受けたスデロットの家屋 出展;スクりんキャプチャ 記事内警察映像より

イスラエルは1週間ほどガザからの放火風船の攻撃を受けてあちこちで野火が、少なくとも100箇所発生するという被害に直面している。この週末だけで28箇所が燃え、消防隊が消化に走り回っている。

これに対し、イスラエル軍は、ほぼ毎夜、ガザへの報復の空爆を行っている。人的被害がないようにはしているが、ガザでは子供が負傷したとのニュースもあり、暴力のエスカレートがはじまっている。

放火風船に対し、イスラエル軍が、金曜夜にもガザへの攻撃を実施したところ、夜中過ぎ、ガザからイスラエル南部へ向けて、ロケット弾が2発された。このため、迎撃ミサイルシステム、アイアンドームがこれを撃墜。

その破片が、スデロットの民家に落下して、男性1人(58)が、ガラスの破片などで軽傷を負った他、複数の人がショックの手当てを受けた。建物に無数の穴が空いている様子が伝えられている。

ガンツ防衛相は、南部の平穏が戻るまでは、ガザへの攻撃を続けると述べた。

www.timesofisrael.com/amid-ongoing-cross-border-fire-gantz-pledges-no-peace-in-gaza-until-south-quiet/

<ガザからの放火風船と国境での「夜の混乱隊」デモ>

ガザからの放火風船攻撃に加えて、ガザ国境に15日には、500人、16日夜には、200人ほどが集結し、タイヤを燃やしたり、国境にいるイスラエル軍に火炎物を投げるなどの動きがみられた。ガザのパレスチナ人たちは、「夜の混乱隊」と呼んでいる。

これに対し、イスラエル軍は、月曜早朝、ハマスの見張り拠点への戦車による砲撃を実施した。

また、イスラエルは、国境からガザへの物資が搬入される検問所を閉鎖した他、カタールからガザへのキャッシュ、3000万ドルも、放火風船が停止するまで搬入を停止すると発表した。

イスラエルは、ガザとの戦いをできるだけ避けたいので、カタールからのキャッシュ搬入を容認していたのであった。

www.timesofisrael.com/israel-said-to-strike-gaza-as-hundreds-of-palestinians-riot-on-border/

<ここでもトルコ?:ハマスにトルコ市民権か>

トルコのエルドアン大統領は、ハマスを支持している。Telegraphが伝えたところによると、ハマス指導者のうち少なくとも12人が、トルコの市民権とIDを所持していることがわかった。

トルコのIDがあった場合、日本、韓国、シンガポール、セルビアはビザなしで入国できる。また、トルコはEUとビザなし移動を求めており、もしそれが実現した場合、ハマスの行動範囲はヨーロッパ中に広がる可能性が出てくる。

ハマスは、アメリカ、カナダ、EUなどが、テロ組織と指定している組織である。これについて、トルコ政府は、コメントを控えているとのこと。

www.jpost.com/middle-east/turkey-gave-citizenship-to-hamas-members-planning-terror-attacks-report-638731

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。