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イスラエルでは、2日、北部南部、両方の国境で、軍事衝突があった。
南北国境での衝突
1)ゴラン高原:シリア国境に爆弾設置の4人を阻止
ヒズボラの反撃予告で、緊張が高まっている北部情勢。イスラエル軍報道官は、2日(日)夜中すぎに、イスラエルとシリアとの国境(イスラエル側)に爆弾を仕掛けようとした4人を阻止(死亡)したと発表した。
ヒズボラは、これを否定したが、この4人がヒズボラメンバーであるとの明確な否定はしていないとのこと。
www.timesofisrael.com/idf-says-it-ambushed-cell-planting-bombs-on-syrian-border-hits-4-terrorists/
2)ガザからミサイル:イスラエル軍反撃
2日(日)夜、ガザからイスラエル南部に向かってロケット弾が発射され、住民たちは、夜中にシェルターに駆け込む騒ぎとなった。ロケット弾は、アイアンドーム迎撃ミサイルが撃墜したが、破片がスデロットに駐車中の車に当たって、後部窓ガラスを破壊している。
一部の住民は、この時ちょうどドライブインシアターで映画を見ていたという。破片がそこへ落ちなかったのは、幸いであった。
www.timesofisrael.com/gaza-rocket-fired-at-south-intercepted-in-first-launch-in-over-a-month/
この翌日、イスラエル軍は、ガザの複数のハマス関係地点への空爆を実施した。ガザからロケット弾が飛来するのは、7月5日以来である。
www.timesofisrael.com/after-rocket-attack-israel-said-to-hit-hamas-targets-in-gaza/
この2つの衝突がくしくも同じ日に発生したことに関係があるかどうかは不明だが、ヒズボラとイランはともに、イランからの支援を受けている組織である。
ヒズボラはイランの支援を受けているため、レバノンがいかに戦争をする状況になくても、イスラエルに対する敵意をイランに誇示しなければならない。
ハマスは、イランから武器の支援を受けているので、イランにイスラエルへの敵意を定期的に見せなければならないとも考えられる。
ynetによると、アメリカは先週、ハマスにガザを再建するために1500万ドル(20億円)もの支援のオファーを出した。しかし、いつものようにハマスは、これを断ったという。受けてしまえば、イランからの補給はなくなるからであろう。ハマスは、ガザ市民よりも、イランからの武器調達を優先したということである。
www.ynetnews.com/article/SJ9D11006xv
イラン情勢近況
1)アメリカとの対立激化
イランはアメリカの経済制裁と、スレイマニ総司令官の暗殺によって、かなりの打撃を受けているが、11月の米大統領選挙まで耐え忍ぶ計画と見え、強気姿勢を全く崩していない。アメリカとの対立は深まる一方である。
最近では、7月下旬、イランがホルムズ海峡にて、預言者モハンマド第14と名付けた軍事訓練を行った。訓練は、アメリカ軍空母(模型の戦闘機つき)の実物大模型を使って、それにむかって攻撃するという内容であった。実際に弾道ミサイルも打ち込まれたことから、アメリカ軍は、警戒態勢をとった。
また、イランは、1日、2008年に、イラン南部のシラズのモスクが爆破され14人が死亡したテロ事件に関わっていたとするジャムシド・シャルマフドの身柄を拘束したと発表した。
ジャムシドは、イスラム革命の前にイランを支配していたパーレビ国王(アメリカ傀儡)を回復させることを目標に動いていたファルシとかトンダーとか呼ばれる組織の関係者である。このグループはアメリカに本拠地を置いていた。
アメリカとの関係は不明だが、アメリカは、イラン政権を覆すイラン人組織が出てくることを望んでいるところである。したがって、現政権に反発するグループの大物を逮捕したということは、アメリカに対する挑戦でもあるといえる。
www.aljazeera.com/news/2020/08/iran-arrested-head-based-terrorist-group-200801114158415.html
2)イランのコロナ被害の実数が発覚
イランは、これまでからも中東で最もコロナ被害を受けている国であった。しかし、BBCが入手した情報によると、感染者数も死者数も、公式な発表よりもっと多いことがわかった。
BBCが入手したという情報は、イラン全国の病院からの詳しい情報で、情報をBBCに渡した人物は、「真実を知ってもらい、感染流行にからむ政治ゲームを終わらせたい。」と言っていたという。
その資料によると、イランの感染者は、7月20日データで、27万8827人と報告していたが、実際には、その倍の45万1024人であった。死者は、1万4405人と報告していたが、実際にはその3倍にあたる4万2000人になっていた可能性がある。コロナ危機初期のころは特に実際の5分の1ほどの報告をしていたみられる。
なぜ隠蔽したかについては、流行の始まりが、1979年のイラン革命から40周年の記念行事と重なっていたことから、これを妨害さないようにしたと考えられている。その後も、市民の反発を抑えるためにも被害を小さくみせようとした可能性がある。イランは、報告に虚偽はないとこれを否定している。
イスラエルは、こうしたイラン情勢と周辺敵対諸国、初期の動きを見ながら状況判断を行っているということである。