23日、シリア領内広範囲(北部、南部、頭部)の4カ所が、攻撃され、シリア軍によると、シリア兵が少なくとも2人死亡した。さらに26日、シリアの玉ねぎ加工工場が攻撃を受けたが、イランの武器庫であったとみられ、数時間自爆し続けて、全焼した。
攻撃を受けた場所が、いずれもイラン軍が関係する場所であることから、死亡した兵士は、実際には、イラン革命軍の兵士とみられている。
さらにこの2日後、シリア軍の武器保管庫で、アサド大統領関係者とイラン革命軍関係者が、ガソリン給油所として利用していた、ホムス近辺の2カ所が攻撃され、イラン人とみられる10人が死亡した。
標的がどれもイラン軍関係であることから、シリア軍が報じている通り、イスラエルによる攻撃とみられるが、イスラエルは、今回もノーコメントである。
これほど大掛かりな攻撃は今回が初めてであることから、イスラエルがわずかなイランの武器搬入も決して見逃すことはないという強力なメッセージであるとともに、シリアに対しても、イランに場所を提供する限り、被害に遭うのはシリアだとの警告であったとみられる。
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この一連の攻撃について、INSS(イスラエル国家治安研究所)のアモス・ヤディン長官は、これまでにない規模であったため、イランの反撃もありうると警告したが、今の所、イランからの反撃は発生していない。ヤディン長官は、「イランがシリアから撤退しはじめていると言われていたが、その情報は弱い。」と述べた。
<最近のイランとの確執>
イスラエルは、シリアが内戦になった2011年から、今にいたるまで数え切れないほどシリア領内の武器庫や武器を搬送中とみられるコンボイへの攻撃を実施してきた。
ここ数年シリア内戦が終焉に近づいてくると、イランは以前よりも大胆にシリア内部への軍事拠点を増やしはじめたことから、イスラエルは、以前にもまして、これらを攻撃してきた。これにより、シリア兵だけでなく、イラン兵、ヒズボラ戦闘員も多数死亡している。
今年は1月3日に、イラン革命軍のスレイマニ総司令官をアメリカが暗殺。続いて、4−5月の間、コロナとの戦いと並行して行われたシリアへの攻撃は5回。5月には、イランのイスラエルへのサイバー攻撃と、それの反撃でイスラエルもイラン港湾へのサイバー攻撃を行った。
イスラエルとイランとの確執は明らかにエスカレートしているが、イスラエルもイランも、無言で水面下で攻撃しあっているというところだろうか。
この背景には、トランプ政権、ロシアのプーチン大統領も、黙認を続けているほか、イラン自身も、アメリカの経済制裁と、干ばつに加えてばった被害と、コロナ問題と、災難続きであることが反撃を不可能にしているとも考えられている。
*イランのコロナ被害:世界10番目の被害
イランも各国と同様、経済活動を再開し始めてから、再び感染者が増加している。ロイターによると、1日あたり、2000人以上の感染者が出ており、累計は21万人を超えた。死者も1日100人以上出ており、累計は1万239人である。実際は、この10倍ではないかみるメディアもある。