ネタニヤフ首相は、1日夜、国民にマスクを着用するよう指示した。また、今年は、過越の祭(4月8−15日)を核家族だけで祝うようにと国民に要請を出した。
過越の祭は、日本で言えば、お正月ぐらいに重大な例祭で、海外にいる家族親族も帰ってきたり、友人知人を招いて、大勢集まって祝う、ユダヤ教最大の例祭である。
特に8日の夕食はセダーと呼ばれ、日本でいえば大晦日の感じなので、家族が集まれないことは大きすぎる変化である。独居の人々にとっては、一人で過ごす過越はあまりにも寂しい。
一時、著名なラビたちが、セダーをオンライン(ズーム)を使って、祝うことを許可すると発表した。電気を使うことは通常は禁止事項である。しかし、後に、イスラエルのチーフラビ2人が、オンラインによるセダーは認めないとのコメントを出している。
ユダヤ教は、神との一対一というよりは、イスラエル人たちが多数、集まっているところで、主に会うということが中心になる。今回のコロナ危機におけるネタニヤフ首相の指示は、ユダヤ教にとっては、根本的なところを揺るがされる一大事といえる。
www.timesofisrael.com/listen-making-seder-of-hi-tech-prayer-and-zoom-passovers/
しかし、過越とは、聖書の出エジプトを記念するもので、恐ろしい災難が、イスラエル人たちの上を”過越し”ていったことを記念するものであるため、コロナ危機が、”過ぎ越して”いくよう、今年は特に、過越の祈りが、リアルになることだろう。
この特別な時の危機であるため、ネタニヤフ首相は、過越に向けて、子供たちと、年金生活高齢者への特別支援金を約束した。
4人目までの子供一人につき500シェケル(1万5000円が、各家庭に支給される。高齢者への支給も予定されているが、具体的な年齢や支援学は、まだ提示されていない。
*過越の祭について
過越は、出エジプトの時代、当時、奴隷であったイスラエル人を虐げていたエジプトに次から次へと災難が発生した時のことである。その最後となる10番目(長男の死)の災難が来る前、神は、イスラエル人に対しては、子羊を殺して、その血を家の門につけておくよう、指示した。
それを信じて、実行したイスラエル人の家と、それを信じたエジプト人たちの上を、災難は過越していった(長男は死ななかった)。これを過越の祭という。
ユダヤ教を基礎にしているキリスト教は、その子羊の血が、イエス・キリストが、十字架で流された血であると教える。罪があると罰という災難が、死後に予測されるわけだが、その罰をキリストが代わりに負って血を流してくれたので、それを信じて、心にキリストを迎え入れた人は、罪の罰という災難をまぬかれるということである。
しかし、その後、キリストは死からよみがえったので、罪の赦しだけでなく永遠の命が与えられると信じられている。これが復活祭であり、イースターである。
聖墳墓教会:復活祭を祭司だけで実施許可要請
新型コロナ危機を受けて、エルサレムの聖墳墓教会も今、その扉を閉じている。しかし、こちらも4月12日と19日は復活祭である(東方教会とカトリックの違い)。バチカンは、イスラエル政府に対し、聖職者だけででも、中に入って儀式を行えるよう、要請を出した。その際、中継で世界にその様子が流れるようにとのことである。