ロシアで覚せい剤所持の罪で収監されていたイスラエル人女性、ナアマ・イッサカルさん(26)が、プーチン大統領の恩赦で釈放され、31日、イスラエルに帰国した。逮捕から8ヶ月が経過していた。
昨年4月、アメリカ系イスラエル人のナアマ・イッサカルさん(26)が、インドからモスクワ経由でイスラエルへ向かっていたところ、経由地のモスクワで、約9グラムの覚せい剤カナビスを所持していたことが、発覚した。
このため、ロシアは、ナアマさんを逮捕。7.5年の実刑判決を言い渡して、刑務所に入れた。イスラエルは、リブリン大統領、ネタニヤフ首相が、家族とともに、プーチン大統領に御社を申し入れていたが聞き入れられなかった。
一時イスラエルの刑務所にいたロシア人との交換の話もあったが、イスラエルがこれを受け入れず、予定通り、アメリカへの引き渡しを実行したため、これも成立しなかった。しかし、先のホロコーストフォーラムで、プーチン大統領がイスラエルを訪問するのにあたり、恩赦が期待されていた。
ネタニヤフ首相は、ワシントンでのトランプ大統領と、正規の取引の発表を行った直後の、モスクワへ飛び、プーチン大統領と最後の交渉を行ったようである。まもなく、ナアマさんは釈放され、ネタニヤフ首相とともに、専用機でイスラエルに帰国することができた。
この代償に支払ったものは、エルサレム市内にあるロシア正教教会の地所をロシアに引き渡したとの報道もあったが、ロシアは、これを否定。アメリカへの好意の印だとしている。
トランプ大統領の正規の取引は、ネタニヤフ首相の総選挙での人気アップにつながらなかったという調査結果だったが、ナアマさんの返還は、ネタニヤフ首相にとって大きなポイントになったとみられる。
www.timesofisrael.com/shocked-and-grateful-backpacker-jailed-by-russia-for-drugs-lands-back-in-israel/
しかし、ネタニヤフ首相が、取り戻したナアマさんをいかにも勲章のごとくに、メディアに披露したことについて、「ナアマさんが帰国できてよかったが、ナアマさんは、(ガザとの戦争でハマスの捕虜になった功労者とも言える)ギラッド・シャリート軍曹を取り戻した時とは違う。」といった辛口の評価もあった。
実際のところ、国外で刑務所に入っているイスラエル人は他にも多数いることから、今回のナアマさんの返還が、あきらかに、選挙前の、ネタニヤフ首相の政治的点取りのようで、見ていて恥ずかしいといった記事もあった。
しかし、無事に帰国できたことは、やはりネタニヤフ首相が足繁くロシアを訪問し、プーチン大統領との友好関係を築いたことが功をそうしたことは否定できないだろう。