6回目となる人質交渉は困難を極めた。結局、7時間遅れで29日に解放されたのは、イスラエル人12人とタイ人4人だった。
今回は、赤十字はラファで人質たちを受け取り、そこからカレン・ショムロンからイスラエル領内への帰還となった。人質たちは、そこからヘリコプターで病院に搬送され、それぞれ家族と再会している。
先に夕方のうちに、プーチン大統領とのつながりで、解放されたロシア系イスラエル人は、エレーナ・トルパノフさん(50)とその母親タティさん(73)。息子のサーシャさんとその恋人のサピル・コーエンさんはまだガザにいる。エレーナさんの夫ヴィタリーさんは、ハマスに殺され、家族がいない中ですでに埋葬されたという。
その後解放されたイスラエル人10人は、以下の通り。今回は10代の若者が多かった。いずれも壮絶な経験とこれからの痛みを抱えている。
ラーヤ・ロッテムさん(54)
ラーヤさんは、先に釈放されたヒラさん(13)の母親である。
ガリ・タルシャンスキーさん(13)
ガリさんは、ハマスが来て自宅に放火したので、父親のイリヤさんとともに隠れていた部屋から飛び降りてハマスに捕まっていた。ガリさんの弟リオルさん(15)は、殺されていた。母親のレウマさんは、ガリさんが必ず帰ると信じ、まだリオルさんを埋葬してない。
イタイ・レゲブさん(18)
イタイさんは、姉のマヤさん(21)と共に拉致されていた。マヤさんは足を撃たれており、先に解放されている。音楽フェスで共に拉致された友達たちはまだガザに残されている。
リアム・オールさん(18)
リアムさんは、いとこのアルマさんとノアムさんとともに拉致されていた。アルマさんとノアムさんは先に解放されている。しかし、リアムさんの叔母であり、アルマさんとノアムさんの母親であるヨナット・オールさんは、殺されていた。ガザから解放された少年3人は、その後にこの訃報を聞くこととなった。アルマさんとノアムさんの父親ドロールさんは、まだガザにいる。
アミット・シャニさん(16)とオフィル・エンジェルさん(17)
共に拉致され、ともに解放された。エンジェルさんは、キブツ・べエリ在住のガールフレンドを訪問していて被災した。ガールフレンドは、ハマスの襲撃から生き延びたが、エンジェルさんは、その女性の父親エリさんと、叔父のヨシさんとともに拉致されていた。エリさんとヨシさんは、まだガザにいる。
ラズ・ベン・アミさん(57)
ラズさんは、頭痛持ちで薬無しには耐えられない人だと家族は心配していた。ラズさんの夫のオハッドさんはまだガザにいる。
リアット・ベイニン・アズィリさん(49)アメリカ国籍もあり
アズィリさんは、ヤド・ヴァシェムのガイドである。夫のアヴィヴさんはまだガザにいる。2人の子供たち、(22、20、18)は無事。
モラン・ステラ・ヤナイさん(40)
ジュエリーのデザイナーで、音楽フェスには作品を販売するために参加していて拉致された。
ヤルデン・ロマン・ガト(36)ドイツ国籍もあり
ヤルデンさんは家族でキブツ・べエリにいて被災した。10月7日、ヤルデンさんと夫のアロン・ガトさんと2人の娘ゲフェンちゃん(3)は、ハマスに車に押し込まれた。
しかし、イスラエル軍の戦車が見えた瞬間に、3人は車から飛び降りて、必死に走ったが、ゲフェンちゃんを抱いて走っていたアロンさんは、ヤルデンさんを見失った。ヤルデンさんとゲフェンさんは、草むらに12時間隠れていて救出されたが、ヤルデンさんは、ハマスに捕まり、ガザに連れて行かれていた。
この時点で、解放されたイスラエル人は73人。外国人24人となった。今もまだガザにいる捕虜は約150人である。
今回、解放されたタイ人は4人。ハマスの襲撃で死亡したタイ人は39人。拉致されたのは32人で、まだ15人がガザにいる。これまでに解放されたタイ人たち17人は帰国の途についた。まもなく、バンコックの空港で家族を再会する予定である。タイ外務省によると、タイは、イスラエルにいた市民8500人を帰国させるとのこと。
イスラエルは、この後、パレスチナ囚人30人を釈放した。その中には、扇動することで問題となっているタミミも含まれていた。