101歳でアメリカからアリヤ 2022.9.19

到着時のステラさん Nefesh Benefesh FBより
家族に迎えられたステラさん Ynet記事より

今日は、台風14号に邪魔されたが、敬老の日である。

イスラエルでは、9月15日に、101歳のステラ・ロックオフさんが、イスラエルへ移住したことがニュースとなっていた。

ステラさんは、欧米からの移住を支援するのチャーター便で、娘夫婦を含む、若い家族などあらゆる世代からなる約60人とともにベングリオンに到着。先に移住していた20人以上の子、孫、ひ孫に迎えられた。

この日は、ネフェフェシュ・べネフェシュとイスラエル移住省の支援で、合計約100人が移住を果たしていた。

ステラさんは、1921年に、まだイギリスの委任統治下にあったエルサレムで生まれた。このため、移住の際、ステラさんが提示した出生証明書は、イギリスの委任統治政府が発行したもので、ヘブライ語、英語、アラビア語で書いてあったという。

ステラさんの家族は、ステラさんが5歳の時に、一家は、アメリカへ移住した。アメリカで成長し、1940年にラビであったヘルマン・ロックオフと結婚。ペンシルベニアのユダヤ人コミュニティで働いた。子供は4人生まれた。

その後、ステラさん夫妻は、アメリカのラビ委員会の有力者となり、以来、ニューヨークのマンハッタンの住民となっていた。ユダヤ人関係の仕事をしていたこともあり、生まれ故郷に戻ることは、長年の夢であったという。

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<石のひとりごと>

100歳をすぎて、新たな移住。それまで待ったのはどんな背景があったのだろうか。どうせなら、もっと早くに来ていたらもっと楽しめたのにとも思ってしまう。また自分も家族もこれから大変な一面も出てくるだろう。日本的には、「やめとき」となりそうな気がする。

しかし、家族たちはそんなことは思っていないようである。ステラさんの家族は、ステラさんが、移住して来てくれてうれしそうである。

ヘブル思想ということばがあるが、それに基づくユダヤ教には、「一人の人を救うことは世界を救う」という基本理念がある。一人の人は、たとえ高齢になって、動けなくなっても、その人の価値は、たとえ増すことはあっても、変わることはないと考えられている。

100歳になって、現実的には国に対して、またもしかしたら、自分にも家族にとっても負担になっているかもしれない人でも、どこか、一人の価値ある人という認識が、イスラエルには、存在している。(とはいえ、現実的にはホロコーストサバイバーの補償が少ないなどの社会問題はあるが・・)

神に創造された人の価値は、たとえ年をとっても変わらない。人の価値は神だけが決めるものなのである。だれにも、自分自身にも、自分の価値を決めさせてはならないということである。

胎内にいる時からになわれており、生まれる前から運ばれた者よ。あなたがたが年をとっても、わたしは同じようにする。あなたがたがしらがになっても、私は背負う。わたしはそうして来たのだ。なお、わたしは運ぼう。わたしは背負って、救い出そう。  イザヤ書46:3-4

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。