8月9日朝、エジプトによる1回目の72時間休戦は、ハマスが期限切れ直後にイスラエルへロケット弾を多数撃ち込んだことで破綻した。
10日は早朝から、ケレン・ショムロン検問所付近へのロケット弾が着弾し、午後には、人道支援物資をガザへ搬入しようとしたトラックのすぐ近くに砲撃があったため、物資搬入をいったん停止するに至った。
こうしたガザ地区からの攻撃に対してイスラエル軍は、ガザ地区のハマス関係地点への空爆を行っている。BBCによると、土曜の空爆で、パレスチナ人9人、日曜の空爆で、14才の少年を含む3人が死亡した。ガザ地区の死亡人数は1900人を超えた。
この状況により、イスラエルは、金曜にガザからの攻撃が始まって以来、カイロに派遣した代表団を呼び戻していた。ハマスは、「イスラエルは交渉する気がない。」と非難し、日曜にもイスラエルの代表団が来ないなら、交渉を打ち切って帰ると言っていた。
ところが、その後になってハマスは72時間の休戦に入ると独自宣言。11日深夜からロケット弾は飛来していない。これを受けて、イスラエルの代表団もカイロに戻り、交渉を再開。
今夜(日本時間では14日朝)2回目の72時間休戦が終了するのを受けて、今日、最後の交渉を行っている。
<交渉内容>
交渉というが、両者ともに妥協し得ない要求を出しており、妥協の可能性はかなり低い。ハマスは、エジプトとの国境ラファの解放とイスラエルとの国境も解放すること。イスラエルの要求はガザ地区の非武装化である。
交渉はメディアには公開されていないため、様々なメディアが聞き及んだ情報が流れて来る程度で、なにが話し合われ、ど野程度進んでいるのかは当事者以外には明らかではない。
そうした情報に寄ると、エジプトは、ラファの国境をパレスチナ自治政府が管理することを条件に解放を検討中。
イスラエルとの国境については、部分的な搬入物資の制限については緩和を検討中。しかし、建築物資などは以前にトンネルにされた経過があるため、監視してハマスの手に渡らないクリエイティブな方策を模索中である。
正式なパレスチナ人の代表はパレスチナ自治政府のアッバス議長であるため、彼を中心に国連、サウジアラビアなどが経済的にも支える方向が検討されている。
イスラエルでは政治家たちが様々な意見を出している。たとえば、昨年一年、パレスチナとの交渉にあたってきたツィッピー・リブニ法務相は、ガザを非武装するなら資金提供といった、お金で平穏を買うような意見も出している。
一方右派のリーバーマン外相は、「ハマスの手中にある兵士2人の遺体が戻るまでは、作戦終了ではない。」と戦争継続意見である。ネタニヤフ首相からは、交渉に関してはまだなんのコメントも出ていない。
パレスチナ側代表団は、ガザ地区の非武装は拒否、国境解放を求めるとしており、相変わらず譲歩する姿勢はないようである。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4556137,00.html(一回目休戦・交渉時の情報)
<ガザ市民負傷者:オリーブ山の病院に18人?>
今回、イスラエルは、ケレン・ショムロン検問所内部に野戦病院を設営し、ガザからのパレスチナ人負傷者を待っていた。しかし、残念ながら、白血病などの慢性病の少年など数人が利用した程度だった。戦争で負傷したガザの人々に関しては、イスラエルの野戦病院をはじめ、イスラエル領内で治療を受けている人はいない。
しかしこの戦争中も、特別にイスラエルが許可を出し、ガザ地区を出て、東エルサレムのオリーブ山にあるパレスチナ人のアル・マハセッド病院で治療を受けている負傷者が18人いるもようである。(負傷者を訪問したパレスチナ人ジャーナリスト証言・病院へは未確認)
なお、この戦争が始まる前までは、ガザから多くの患者が、イスラエルの病院に来て治療を受けていた。その中には多数の子供が含まれている。その家族たちもイスラエルに来ていたのである。ハマス指導者イシュマエル・ハニエの孫娘もイスラエルで治療を受けている。
www.jpost.com/Middle-East/Israeli-hospital-treats-Hamas-PM-Haniyehs-granddaughter-332193
戦争が始まってからは、ガザから新たな患者は来なくなり、戦争前からイスラエルで治療を受けていたガザからのパレスチナ人家族は、家に帰れなくなった。(写真は、白血病のためイスラエルで治療を受けているガザから来た男の子・ガザで負傷した兵士も同じ病院で治療中)