飲料水・食糧危機に向かう世界に貢献するイスラエル:日本でも始まる新しい農業の形 2023.9.1

中森農産株式会社HPより

食糧・飲料水自給率100%のイスラエル

イスラエルは、国土のほとんどは砂漠や荒野であり、周囲を敵に囲まれている。このため、独立する以前から、砂漠を開拓して緑の畑にすることだけでなく、あらゆる技術を駆使して、いかに少ない資源で最大の食糧を得ることができるか、また水の確保のために研究も進められてきた。

自国のことだけでなく、地球にはやがて食糧難が来ると予想し、それに備えるという視点も持っている。このため、イスラエルの食料、飲料水自給率は100%である。

イスラエルのさまざまな農業技術は文字通り世界一であり、その技術が、今、世界で砂漠化や、食力不足に陥り始めた世界に貢献する結果になっている。

現在、注目されているのが、3Dプリンターによる食糧である。特に植物性タンパク質を利用して作る人工のステーキ、肉の実用化が始まっている。将来、深刻な食糧危機に陥った時、世界を救うのは、やはりイスラエルの技術ということになるのかもしれない。

深刻な日本の食糧事情:農家高齢化の中で新しい農業の形

日本は今は豊かすぎるほどに食糧に満ち溢れているが、将来はかなり危機的な様相にある。国内自給率がわずか38%で、外国から食糧を止められたらすぐにも食糧難に陥ってしまう。

さらに、高齢化とともに、生産がどんどん落ちていくと言う現場にある。朝日放送によると、現在の農業従事者はだんとつ70歳以上で、69万5000人。このままでいくと、20年後には、農業に従事する人はわずか25万2000人になる。食糧自給率はさらに下がるという危機的な状況にある。

そうした中、朝日放送で、中森農産株式会社という新しい農業の形が紹介されていた。

中森剛志さん
日経新聞記事よりhttps://www.nikkei.com/article/DGXZQOGH20AZE0Q1A520C2000000/

中森剛志社長(34)は、埼玉県加須市で、農業ができなくなった土地を刈り上げ、広大な農地にして、機械化や、技術の取り入れて、若い少人数社員で、会社方式での農業を行なっている。いわゆるメガファームである。

中森さんは、この方式で日本の農業を改革し、食糧自給率をあげて、日本の食糧危機に備えたいと思いでこの会社を始めたという。

以下はこれまでの農業とは違う、この会社のイメージの会社のクリップ

働く人は、週休2日で8時間労働。二毛作にするなど、畑を無駄なく使うことと、広大な農地にすることで、収穫を増やしている。2017年開業以来、畑の広さは10倍となり、現在の年間の売り上げは、すでに1億円を超えているという。16人の社員の給料はすでに年400-600万である。

中森社長は社員の年俸を1000万にすること、日本の農業の10%を担うことを目標にしているという。今農家の高齢化が進んで、空きになっている農地が増えてきていることが、逆にチャンスになっていると語る。

中森さんは、この農業会社の成功の鍵は広大な農地での作業だと語っている。効率の良い農業をめざすのだから、今後、イスラエルの農業技術もどんどん取り入れるのではないかと思われる。

若い世代が、農業に夢をもち、新しい様式で働いている姿におおいに希望を感じた。

www.nai.organic/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。