イスラエルでは14日日没から過越の例祭が始まった。初日にはセデルと呼ばれる特別な夕食を家族で囲む。14日午後から夕方にかけて、全国の主要道路は、帰省ラッシュで、激しい渋滞となった。
そんな中、セデルに間に合うようにヘブロン近郊の35号線を走っていたイスラエル人の車3台に向かってパレスチナ人テロリストがライフルで射撃。
2台目の車を運転していた男性(40)が死亡。助手席にいた男性の妻(28)も中等度の負傷。3台目に乗っていたこの夫妻の息子(9)も軽傷を負った。負傷の2人は病院に搬送された。
35号線沿線には多数のパレスチナ人地区がある。現在、イスラエル軍は、それらの一つを包囲した他、かなりの人数で犯人の捜索を行っている。
<ハマス・イスラム聖戦が歓迎の意向>
このテロ事件を受けて、ハマス、イスラム聖戦がそろって「イスラエルの占領、犯行が原因。この行為を歓迎する。」とコメント。ハマスは、西岸地区でさらにイスラエルに対抗するよう呼びかけた。
*西岸地区のイスラエル軍 https://www.youtube.com/watch?v=c_5xfxI-hxM
西岸地区では12日にも投石するパレスチナ人とイスラエル軍が衝突した。(パレスチナ側からの撮影で、背景は入植地)
残念ながら、こうした光景は珍しいものではない。
<全国で警戒体制>
イスラエルの治安部隊は、過ぎ越が始まる前より、高度な警戒態勢をとっている。14日夕刻から西岸地区の検問所は遮断され、パレスチナ人は基本的にイスラエル側へ入れなくなっている。
過ぎ越初日が終わる15日日没から、今度は町へ戻る車のラッシュとなるため、西岸地区での上記検問所遮断は、16日の朝まで続けられる。神殿の丘へのアクセスも大幅に制限されている。
しかし、その警護の向こう側、西岸地区奥深くにはイタマルなど入植地が点在している。イタマルでは、2011年、パレスチナ人テロリストが侵入し一家5人が惨殺された。
入植地のユダヤ人といえば過激なイメージがあるが、実際には、ユダヤ教を重んじる若い家族連れなど平和志向の人々がほとんどである。過ぎ越の期間中、パレスチナ人に囲まれている入植地の人々が守られるようにとりなし必要。
*サマリア人の過ぎ越し
厳しい治安情勢だが、西岸地区のシェケム(ナブルス)を見下ろすゲリジム山では、今年もサマリア人が過ぎ越前夜に子羊をほふる儀式を行った。(現在、サマリア人の人口イスラエル全国で約800人)
祭司たちと白装束の男性(男児も含む)が集まって聖書に命じられている通りに子羊をほふり、その肉は焼いて脂肪は煙にされる。サマリア人たちは、女性も子供もその子羊の血をひたいにつけてもらっていた。(今週末CGNTVでアップ予定)
この儀式が行われたのは、過ぎ越前夜の13日で、検問所が閉じられる前。イスラエル軍兵士たちの警護の中、大勢のイスラエル人(ユダヤ人)や観光客が見物に来ていた。この機会に路上で聖書を配布し、福音伝道する韓国人やその他のクリスチャンの姿があった。
<エルサレム:静かな過ぎ越の夜>
西岸地区でテロがあった14日夜だが、23時現在のエルサレム市内は、静まり返って車も人も通りでみかけることはほとんどない。人々は家の中でセデルの祝いを楽しんでいる。
月が赤くなるとも言われていたが、15日0:00現在の月はいつもの美しい満月で赤くは見えていない。
<やっかいな1週間>
今週は、過ぎ越しで海外在住のユダヤ人がセデルをイスラエルで祝うために殺到している。さらに木曜からはイースター(今年はカトリックもプロテスタントもオーソドックス(ギリシャ正教など)も、クリスチャンも殺到している。今週だけで12万5000人が入国すると推測されている。
一方、逆にイスラエル人は過ぎ越の長期休暇を利用して海外旅行にでかけている。国通しはまだまだもめているイスラエルとトルコだが、この過ぎ越をトルコのリゾート地で過ごすイスラエル人は24000人に上る。(昨年より150%増)
過ぎ越の人気スポットは、シナイ半島。テロ組織の巣窟となった今、さすがにシナイ半島に行く人はいないとは思われるが、そこはイスラエル人。行っている人があるかもしれない。
国の警告を聞かないのがイスラエル人。今週、国外だけでなく、海外の様々なところにいるユダヤ人の守りのためにも祈りは必要である。
過越の時に残念な事件が起きましたね。イスラエルの緊迫した状況がわかりました。
サマリヤ人の過越も興味深いレポートでしたが、韓国人クリスチャンの働きもすごいですね。