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ホロコースト記念センター・バビ・ヤール被害
キエフでは1日、戦闘が激しくなり、ミサイル攻撃で市内のテレビ塔が破壊される様子が伝えられた。この時、被害を受けたテレビ塔に隣接する、バビ・ヤール記念センターの施設の一部が炎上したとのこと。
バビ・ヤールは、第二次世界大戦のホロコーストの時代、1941年に、2日間で3万7000人以上が2日で銃殺された場所である。ここでは、ロシアとウクライナのユダヤ人富豪が出資して、壮大な記念館を建設中で、2026年に完成予定となっていた。まだ未完成だが、昨年10月には、終戦80周年記念で、ヘルツォグ大統領が、ここでの式典に出席したばかりだった。
エルサレムのホロコースト記念館ヤド・ヴァシェムは、「ロシアが、バビ・ヤール記念館のある地域を攻撃した。」と明確にロシアを非難し、国際社会に、人命と歴史的にも重要な場所を守るよう呼びかける声明を出した。ユダヤ系諸団体も非難声明をだしている。
www.ynetnews.com/article/s1wa7xngq
www.nytimes.com/2022/03/01/world/europe/kyiv-babyn-yar-holocaust-memorial.html
自身もユダヤ人であるゼレンスキー大統領は、「こんなことが起こっても世界は沈黙を守っている。80年経った今、“Never Again (2度とこんなことは起こさない)と言っていた意味はあるのか?」と皮肉をこめたコメントを出した。
www.nytimes.com/2022/03/01/world/europe/kyiv-babyn-yar-holocaust-memorial.html
イスラエルはロシアを非難するか?
しかし、これまでのところ、イスラエルは、公式にはできるだけ、ロシアを名指しで非難しない方針を続けている。一方、ラピード外相はじめ、ユダヤ機関の シャランスキー氏(ウクライナ出身)は、悪いものは悪いと明確にするべきと、今のイスラエルの方針と意見を意にする政治家の声もいる。
昨日行われた国連総会でのロシア非難決議では、イスラエルも公に支持票を投じている。これは、おそらくベネット首相も承諾の上とみられている。バビ・ヤールについては、ラピード外相が、修復に関してイスラエルも支援するとの声明を出したが、ロシアを名指しすることはなかった。
石のひとりごと
ロシアがウクライナを攻撃しているのだが、よく見ると、関係地域には、ロシア人もウクライナ人もイスラエル人もいて、国籍が二重の人も少なくない。人種的にも混じっている人も多い。非常にややこしい戦いであることがわかる。
たとえば、大富豪で慈善家のローマン・アブラモビッツ氏は、ロシア人だが、イスラエル人でもあるユダヤ人である。
アブラモビッツ氏は、ロシア人なので、経済制裁の対象になる可能性があるが、そうなると、イスラエル含め、世界中に困る人々も出てくる。ヤド・ヴァシェムへの民間からの献金額では、アブラモビッツ氏が2番目という人である。
またイスラエルには、ロシア人とウクライナ人の両親の間に生まれた人々もかなりいる。そうなると、この戦争、いったいなんの意味があるのかとも思わされる。
そんなわけのわからない戦争ではあるが、プーチン大統領が核兵器をほのめかしている上、バビヤールのような場所が、被害を被るなどして、だんだん、世界戦争にまで発展する可能性がみえなくもない。
この悪循環が、なんとか阻止され、1日も早く殺戮を止める方策が、世界に与えられるよう、祈る。