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日本から中東7カ国歴訪のねらい
茂木敏充外相は、8月15日から24日までの予定で、エジプト、パレスチナ自治政府、イスラエル、ヨルダン、トルコ、イラン、カタールをこの順番で歴訪している。
外務省によると、今回の公式訪問の目的は、日本の中東の平和と繁栄へのコミットメントを表明することと、法に基づく国際秩序の重要性、新型コロナ対策、地域の安定に向けた日本の連携などを論議することだという。
www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press3_000550.html
平たく言うと、中東でアメリカの影が薄くなり、中国の進出が目立ってきていることから、中東における日本(中東の石油輸入お得意先)の存在をアピールする狙いがある。
22日には、イランを訪問。発足したばかりのライシ新政権を前に、国際社会では初の外相レベルの訪問を果たす。イランでは、暗礁にのりあげている国際社会との核合意維持を呼びかけるとのこと。
www.jiji.com/jc/article?k=2021081300888&g=pol
茂木外相は15日出発後、まずエジプトでシーシ大統領と、続いてパレスチナ自治政府でアッバス議長と会談したあと、18日、イスラエルに到着。ベネット首相、ヘルツォグ大統領、ラピード外相(時期首相)と会談した。今日はもうヨルダンに移動している。
茂木外相:イスラエルのポテンシャルを実感と報告
茂木外相がイスラエルを公式訪問するのは7年前に経産相として訪問して以来、2回目である。エルサレムではベネット首相、ヘルツォグ大統領と会談。ヘルツォグ大統領は、日本が、東京オリンピックで、ミュンヘン・オリンピックのイスラエル人テロ犠牲者を覚えて黙祷を捧げたことに感謝を伝えている。
www.jpost.com/israel-news/president-herzog-meets-with-japanese-fm-motegi-in-israel-677071
その後ハイテクの中心地テルアビブを訪問して、ラピード外相と会談。両国の産業協力に関する覚書に署名した。イスラエルと日本は来年、国交70周年になる。
両外相は、近年、両国の貿易や技術協力が進んでいることを確認し、今後のさらなる協力について話し合った。また、日本がエリコでパレスチナ自治政府に継続している産業支援活動やについても話し合ったとのこと。
茂木外相は、イスラエルに進出する日系企業は、前回訪問したときから3倍の90社になっていると報告。国家レベルでスタートアップを支援するイスラエルは、世界のイノベーションの中心だとして、前回と同様に、大きなポテンシャルを感じる国だと述べている。
また今回はアブラハム合意で、湾岸諸国との交流が始まって、新しいダイナミズムが起きているとも書いている。
茂木外相は、今回、訪問する先々からフェイスブックで、詳しく報告している。イスラエルからの報告によると、旧市街を訪問して嘆きの壁(ユダヤ教)、聖墳墓教会(キリスト教)、岩のドーム(イスラム教・おそらく中には入っていない)を見学して中東問題の難しさを実感したと書かれている。聖書からの説明まで書かれている。
その後、ヤドバシェム(ホロコースト記念館)を訪問。記念館で説明を聞いたあと、記憶のホールで献花も行っている。日本人で唯一の義なる異邦人として認められている杉原千畝外交官の記念樹を訪問後、チルドレン・メモリアルも見学した。いわばフルコースでの訪問であった。
イスラエルは今月から、かつて東北大震災の時に医療部隊を派遣した経歴から、宮城県で、スタートアップ精神を日本に紹介するプログラムを開始したところである。今後も、両国の関係が進むことが期待される。