第二波か1日で1107人:ネタニヤフ首相から市民へウイズコロナの覚悟と希望 2020.7.3

ロニー・ガムズ氏 CEO of Tel Aviv Sourasky Medical Center 出展:TSMC HP

感染急増:24時間で1107人

イスラエルでは、ここしばらく毎日900人以上から1000人を超える感染者が確認されていることはお伝えした通り。本日最終のデータでは、すでに1100人を超えた。重症者も2日前は57人から昨日には65人と急増している。死者は、2人づつ増えて最新データは344人である。(Worldmeter)

ガンツ防衛相は、コロナ対策で働く兵士として、予備役兵500人の招集を決めた。ほとんどは、コロナ感染者の自宅と病院の中間施設となるホテル10軒で働くことになる。

www.timesofisrael.com/gantz-approves-call-up-of-500-reservists-to-help-battle-resurgent-coronavirus/

経済状況は、失業者が100万人を超え、依然、厳しい状況が続いているため、コロナ閣議が1日に出した制限は、イベント会場で、250人までを許容するなど、まだゆるいものであった。

しかし、感染者が1000人を超え、状況が深刻性を増していることを受けて、ネタニヤフ首相と、保健省は、2日夜、ジョイントで記者会見を開き、前日に発表したコロナ対策をさらに強化した対策を発表(要国会の承認)した。

それによると、①イベントホールなどでの集会は50人まで。屋内の小さい場所では20人まで。②公共の場での集まり制限の順守を強化する。

詳細になると、ジムは全面的に閉鎖するが、レストラン、ショッピングセンター、モールや観光地はじめ、公共交通機関については、今の所現状維持の方針とのこと。

加えて、経済活動の制限には、支援策が必要になるため、③影響を受ける業種への支援を強化する、となっている。

ネタニヤフ首相は、長引く社会活動の制限で苦境に陥っている企業の安全ネットとして、6ヶ月経済支援パックを計画していると発表した。また支援金がただちに届くよう、めんどうな役所仕事をカットすると約束した。

*礼拝事情も柔軟対応

当初シナゴーグでの集まりは20人までとされた。このため、エルサレム・アッセンブリー(メノー牧師)でも、2週間前に再開していた礼拝を再びオンラインに戻すと連絡があった。

しかし、その後、ユダヤ教正統派の内務相が、政府と交渉したとのことで、礼拝では、50人までOKとの指示に変わった。このため、エルサレムアッセンブリーから再び連絡があり、教会で、2つの部屋に分かれての礼拝を行うとの連絡が来た。いろいろ変化がある中、教会もまた対応しなければならないようである。

経済危機拍車:コシェル機内食会社が大量解雇か

新たな感染拡大を受けて、7月に一部の観光も回復するとの見通しは泡と消えた。エルアル航空も便を全面的にキャンセルとなった。これを受けて、毎日ベン・グリオン空港で、エルアルだけでなく、様々な航空会社にコシェル(ユダヤ教規定食)の機内食を、1日に4万食を提供してきた会社タルマンが経営危機に追い込まれている。

タルマンでは、現在、一般職員の80%にあたる6030人が無給休暇に置かれている。事務職は、給与の20%カットとなっている。このままいくと、この全員が職を失うことになるという。厳しい時代はいまからが本番ということであろう。

www.timesofisrael.com/mass-layoffs-may-be-in-offing-at-el-al-subsidiary-that-produces-airline-meals/

ネタニヤフ首相から市民へ覚悟と希望のよびかけ:申命記23:24

ネタニヤフ首相は、再びコロナ禍が再燃してきたことについて、国民に以下のようなメッセージを発した。(GPOからの原稿から抜粋)

「コロナ危機は世界では、1日の感染者が20万人近くと、今も続いている。いったん感染が減って、再び増加している国が少なくない。このウイルスもやがて去っていくと楽観的な見方をする人もいるが、まだコロナは去ったわけではない。

ここしばらく、感染予防対策をしながら、経済の解放を試みてきたが、再び制限を強化することになった。逃れられない真実として申し上げるが、私たちは今、方向を変えなければならない。

このウイルスは、油断するとそこにつけこんでくる。私たちは、戦場の指揮官のようにならなけれなならない。敵が手法を変えてくるなら、私たちも古い作戦にとどまっていてはならない。目を閉じてもならない。作戦は、敵の出方を見て、変化させる必要がある。

これまでにも話してきたように、ウイズコロナにおける対策というのは、アコーディオンのようなもので、開いたり、閉じたりすると思ってもらいたい。これが日常になるということである。

これからの目標は、社会・経済活動の制限をできるだけ少なくしながら、感染の増加もできるだけおさえられるというポイントをみつけることである。このときに鍵になるのは、それぞれが、感染予防のルールを守るなど、自分の責任を果たすということである。

経済に大きな打撃があり、多くの人が傷ついていることは知っている。全力をあげて24時間対処している。失業手当受給資格を拡大し、自営業など小規模業者への支援を20億シェケル増額した。

加えてまもなく、「経済コロナ・キット」と称する6ヶ月の経済支援対策を発表する予定である。これは、雇用と収入への安心をもたらすためのもので、たとえば、必要になったときのセーフティネットのようなプログラムである。

また、今はまだ、実質的な約束はできないが、希望はある。イスラエルは、イノベーションの国として、ワクチンと治療薬の研究を行っている。コロナとの戦いは時間もかかる難しい戦いになるが、その中にあっても、努力は続けられている。

皆で力を合わせれば、かならずイスラエルの経済を回復させることができるだけでなく、最終的には、コロナ前以上になると信じている。私たちはともにこのチャレンジを乗り越え勝利を得ることになる。」

ネタニヤフ首相は、最後に、今週の聖書箇所(トーラー・ポーション)、「見よ。この民は雌獅子のように起き、雄獅子のように立ち上がる(民数記23:24)」を読んでしめくくった。

石のひとりごと

イスラエルだけでなく、日本でも世界でも今、急速に感染者が増えている。特にアメリカは昨日1日の感染者が5万人だという。世界的に、コロナ禍による倒産はこれからであり、各国のきなみ、そろそろ失業保険の期限切れを迎える。いよいよ恐慌の始まりまりかもしれないと緊張を覚える。

こんな中、すべてを想定内とする全知全能の神を知っている者は強いと思う。ネタニヤフ首相が引用した聖書が「この民」と呼ぶ人々がイスラエルであり、キリストの贖いによって、その民に加えられたキリスト者とよばれる人々である。

無論、私たちが肉なる人間である限り、神のすることを全部理解することはできない。したがって、自分にもどんな悲劇がやってくるかはわからない。この神を知っていたらすべて、自分の思うところの祝福ということではないからである。

しかし、私たちが確信してやまないことは、聖書に書かれている通り、この神はよいお方であり、祝福したいと願っている神であるということである。したがって、何があろうが、意味のないことはぜったいにないということ、最終的には、すべてが益になるということである。

その保証、セーフティネットが、あるからこそ、知恵を使って自分にできる最善を尽くし、最終的には、平安をもって、天命を待つことができる。失敗をも受け入れ、次に活かすことができる。これは、人間レベルの祝福だけを約束する、いわゆる人間の宗教では、理解できないことだと思う。

多くの苦しんでいる人々の間で、その主の民として実際的にもできることをしていくと同時に、この神のもとに立ち返ってこの決して動かない保証を受けとる人々が増えてほしいと思う。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。