東エルサレムからパレスチナ人家族を強制撤去:パレスチナ人ら18人逮捕 2022.1.20

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東エルサレムからパレスチナ人家族を強制撤去

昨年5月のガザとの紛争のきっかけの一つであった東エルサレムのシーカ・ジャラ。19日、イスラエル警察は、違法に建てられているとして、撤去を勧告していたパレスチナ人のモハンマド・サラフィア家族の家を撤去し、そこで反発していたパレスチナ人と、左派イスラエル人活動家ら18人を逮捕した。

イスラエル市は、サラフィア家族の家は、公共施設のための土地の上に違法に建てられているとしている。家を撤去した後は、地域のパレスチナ人のための特殊学校と、6つのパレスチナ人用の幼稚園を設立すると発表している。

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シーカ・ジャラは東エルサレムの地域で、ユダヤ教にとって重要なラビの墓がある土地でもある。このため、紛争になることの多い土地である。

イスラエルは、この地域のパレスチナ人300人に退去を命じているという。しかし、論議と紛争が絶えないので、2017年に一度撤去が実行されたあと、撤去をすすめられないままになっている問題の地域である。

今回家を破壊されたサラフィア氏は、この土地を、1950年代にアラブ人地主から買ったものだと主張し、1990年に、エルサレム市に許可を得ずに、勝手に建てられていた家屋であった。パレスチナ人たちは、イスラエルが、シーカ・ジャラだけでなく、東エルサレムからパレスチナ人すべてを追い出そうとしていると訴えている。

警察は最初、17日にブルドーザーを伴って現場に到着した。すると、サラフィアとイスラエル人で左派の活動家らが、バリケードを張ってこれに反発を表明。警察は、まず周囲の庭を破壊しながら、交渉をすすめたが、モハンマド・サラフィアは、一時屋根の上に上がって、「絶対に出ていかない。追い出すなら死ぬ」と焼身自殺を脅迫した。

警察は一旦退いたが、19日深夜3時ごろ、数十人の警察官が乗り込んで、この家を完全に破壊するに至った。この日、エルサレムは氷点下以下で雪も降るような寒憂ようるだったもようである。

<東エルサレムのパレスチナ人社会>

東エルサレムには35万人のパレスチナ人が住んでいる。これはエルサレム市人口の38%にのぼる。人権は、とりあえず守られているし、たとえば、ワクチンも東エルサレムの住民は、ユダヤ人と同様に受けている。しかし、学校の数は少なく、ゴミ収集ではユダヤ人地域と差が出るなど、パレスチナ地域とユダヤ人地域の間の格差は、大きな課題となっている。

しかし、パレスチナ人が市に税金を払っていないのに対し、ユダヤ人たちは高い税金を払っているなどの格差もあるので、それなりの理由もあるわけである。

左派政党メレツ党は、公共施設を建てるなら、サラフィア一家の家を潰さなくても、その周辺に空き地があるではないかと訴えたが、その土地はすでに、ユダヤ教超正統派たちに、イシバを建てる土地として与えられた土地であったので、使えなかったのだという。

この東エルサレムのパレスチナ人が多く住んでいる地域に、ユダヤ教神学校(つまりは、かなりの右派)ができるという。今後大きな問題になっていくことは避けら得ないだろう。

www.timesofisrael.com/jerusalem-police-evict-palestinian-family-overnight-ending-standoff-18-arrested/

今後どうなるのか:アメリカからも批判

今のところ、ハマスからはなんの反応もないが、今後、パレスチナの過激派からの攻撃がある懸念はある。しかし、イスラエルは、家は違法に建てられていたものだとして、撤去は合法的な施作だと主張している。

しかし、アメリカのグリーンフィールド国連大使は、パレスチナ問題に関する国連安保理で、「イスラエルとパレスチナ自治政府との間の和平を望むなら、一方的な行動は慎まなければならない。具体的には土地の併合、入植活動、家の破壊、強制撤去などである。今シーカ・ジャラで起きたことは、暴力の挑発であり、テロ行為に理由を与えることにつながるy・」と述べた。

パレスチナ自治政府のマリキ外相は、「イスラエルは、パレスチナ人の権利を認めない。国際社会がイスラエルに対して強く出ないと、状況は変わらない。このままであれば、二国家2民族の目標は消え去るだろう。」と訴えた。

これに対し、イスラエルのギラッド・エルダン国連大使は、国際社会に対し、パレスチナ人テロリストがイスラエル人に対して投げつけたブロックを手に、2021年だけで、パレスチナ人が、投石したのは1775回に上ると訴え、子供や赤ちゃんまでが犠牲になっているが、国際社会はこれを無視していると訴えた。

www.timesofisrael.com/us-pans-eviction-of-palestinian-family-from-sheikh-jarrah-home/

石のひとりごと

もう何年同じことのくりかえしだろうか。。ため息しかない。ともかくも、このことでまたガザなどとの紛争にならないうように祈る。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。