イスラエルでは、ユダヤ教超正統派の人々が当局の厳しい隔離政策に従わず、したがって、感染者がこの人々の間で拡大していることが問題となっている。
超正統派が大半を占める、テルアビブ東部のブネイ・ブラック(人口約20万人)では、昨日24時間で、571人の感染が確認され、住民の34%、3人に1人が感染していることがわかった。これは全国に突出した数字である。
さらに水曜深夜すぎから、数時間で67人の感染が出ていることから、このままでいくと、来週までに、ブネイ・ブラックだけで1500人が感染し、60人から80人が重症化する可能性がある。
MDA(救急隊)は、ブネイ・ブラックの感染者をいったんラマットガンのスタジアムに集めて、そこから防衛相が運営する隔離ホテルに振り分ける作業を始めた。
感染者のほとんどは、食物規定他、ユダヤ教規定を守ることが可能な、ハイファ南部、ニール・エチオンにあるホテルに搬送されている。
また、警察は、ブネイ・ブラック周辺に検問所を設けて、人の出入りをチェックし、特に住民で自宅隔離されている人が、町から出ないようにチェックしている。
なお、ブネイ・ブラックより感染者が多いのは、エルサレムで、650人と全国最大である。エルサレムでも、ユダヤ教超正統派地域メア・シャリームで、外出制限を守らない超正統派、特に過激と言われるユダヤ教の派閥と、隔離を監視する治安部隊との衝突にまで発展している。
超正統派の隔離を取り締まるのは、この人々の命を守るというだけが目的ではない。人工呼吸器もICUも数が限られている。今のうちに、重症化する人をできるだけ少なくすることは、全人口のためでもあるということである。