www.bbc.com/news/world-europe-32383126
イスラエルでは、地中海に面するテルアビブのビーチで、海開きと平和にやっているが、その同じ地中海の、少し先では悲惨な状況となっている。
前回、リビアからイタリアへ向かった難民400人が、地中海で死亡したとお伝えしたが、今日、新たに難民700人以上が死亡した可能性が高まった。わずか1週間の間に、1100人もの難民が地中海で死亡したことになる。国連によると、一度に700人も死亡するのは史上最悪の事態。
難民たちは、粗末な船に定員をはるかに超えて乗船しているため、少しでも傾くと船は簡単に転覆してしまう。同じ状況で死亡した難民は、昨年1年で3500人、今年1月から4月までの死者は1600人である。
しかし、問題は死者だけではない。BBCによると、4月10-17日のわずか1週間の間に、船から無事救出され、イタリアがやむなく収容したた難民の数は13500人だという。
難民は、これまでは、とりあえずイタリアのシシリー島に収容されていたが、もう入りきれなくなっている。20日、EUは、これをイタリアだけの問題ではなく、EU全体の緊急事態と認識し、対処すると発表した。
具体的には、遭難した難民を一人でも救出を試みるとともに、10ポイント緊急対策を発動し、救出された難民の登録などのプロセスにおおわらわである。
難民船はまだ続くと予想され、BBCでは、いったいどうしたらいいのか、解決がない、といったコメントが相次いでいる。バチカンの法王フランシスも、「世界は難民救出にもっと努力してほしい。」と要請。第二次世界大戦以来の難民問題の到来で、世界は騒然となってきている。
<難民はどこから来るのか>
今回の難民は、北アフリカのリビアから、一番近いヨーロッパであるイタリアにやってきている。難民の国籍は、ボコ・ハラムなどの脅威にさらされているアフリカ諸国はじめ、シリアや、アフガニスタンなど中東からの難民も含まれている。
難民たちは、命がけの渡航のために、斡旋業者に一人平均1000ドル(12万円)を支払っているという。
イギリスのガーディアン紙によると、EUは、今週木曜にブリュッセルで会議を開き、沿岸警備を強化するとともに、”抜本的解決”(リビアの密航斡旋業者攻撃など)への対策を講じる予定。
<ISISが勢力伸ばすリビア>
難民の出発地となっているリビアは、2014年に中央政府が転覆し、無政府状態に陥った。その混乱に乗じてISISが勢力を伸ばしている国である。
昨年10月、リビアで、エジプト人コプト教徒21人が斬首され、エジプトが報復の空爆を行った。
また、19日、ISISが、再びリビアで、エチオピア人キリスト教徒35人を斬首した映像を流した。クリスチャンたちが、イスラムに改宗しなかったからである。エチオピアは、国民に3日間の喪に服すことを呼びかけた。その間にどう対処するかを検討する予定。
www.bbc.com/news/world-middle-east-32373166
死ぬ可能性が高いにも関わらず、難民船に小さな子供をつれてなお、わずかなチャンスにかけて難民船に乗る。それほど、中東やアフリカの状況は悪くなっているということである。
ということは、EUがいくら密航の斡旋業者を攻撃しても、問題の解決にはならない。世界は本当に人間の手ではどうしようもないほどの混乱へ向かっているようである。