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野党もガザ攻撃を支持表明
イスラエルは強硬右派性政権と、野党中道左派との対立が深刻ではあるが、ガザへの攻撃について、野党代表ヤイル・ラピード氏は、イスラエル軍のガザでの盾と弓作戦を支持すると、ツイッターを通じて表明した。
ベニー・ガンツ氏も同様である。余談になるが、このガンツ氏は、最近の世論調査で、次回総選挙で獲得する議席数が、ネタニヤフ首相のリクードを超えている動向にある。
また、先週、ガザから104発ものミサイルが発射されたにもかかわらず、その反撃が甘いといって、閣議をボイコットしていた極右政党のベン・グビル氏も閣議に戻ると表明した。
今のガザへの攻撃については、ネタニヤフ首相が、閣議をボイコットしたベン・グビル氏や連立内の右派閣僚たちに押されて実施したのではないかとか、アラブ政党ラアム党のアッバス氏からは、国内分裂に対する作戦ではないかとの声が上がっていた。
しかし、ガザで暗殺された3人のイスラム聖戦指導者の実態が明らかになるにつれ、そんな理由ではなく、実際に今、イスラエルがこの先手作戦を行う必要があったとの理解になっている。
www.timesofisrael.com/gaza-op-gets-broad-political-support-as-some-trade-barbs-over-ben-gvir/
両者の間に立って、与野党代表の間に立って、交渉を支援しているヘルツォグ大統領も、ガザでの作戦を賞賛する声明を出した。
イスラム聖戦(PIJ)の成り立ちと暗殺された指導者たちの実態
1)イスラム聖戦:イスラエルの滅亡を目標にする組織
イスラム聖戦(PIJ)は、エジプトのムスリム兄弟団のメンバーであったファシ・シャカキとアブドル・アジズ・アワダによって、1981年に設立された。
1981年は、イスラエルとの和平を進めたエジプトのサダト大統領が暗殺された年である。All Israel News によると、暗殺はPIJによるものであったためか、エジプトはこの後、PIJをエジプトから追放していた。
そこで、ファシ・シャカキとアブドル・アジズ・アワダは、ガザに来て、イスラム聖戦を立ち上げた。PIJは、ガザだけでなく、西岸地区でもヘブロンとジェニンを拠点に活動しはじめた。
PIJに政治的な要素はなく、組織の目的は、ただイスラエルを撃滅することである。その武装団はアル・クッズ旅団と呼ばれた。All Israel Newsによると、PIJは、スンニ派であるにもかかわらず、1979年のイラン革命の影響を大きく受け、より過激になっていった。
その後1984年の戦闘でイスラエルはPIJをレバノンへ追放したが、そこで、PIJはヒズボラとイラン革命軍との関係を構築している。
PIJの問題は、組織が政治的でなく、小さいので地域に深く紛れ込んでおり、攻撃が難しいということであった。今もイランの支援を受けながら、イスラエルへの攻撃を続けている組織である。
2)ガザで暗殺された指導者の膨大な影響力
今回、イスラエルが暗殺したPIJの3人の指導者については、国内治安担当のシン・ベトがその実態を発表した。
それによると、3人のうちのテレク・アサルジンは、イスラエルを標的にする20のテロ組織を傘下に置く司令官だった。拠点はジェニンであった。シンベトによると、最近、ロケット団とその発射装置の製造を行なっていたという。
資金はイランがすべて出していることから、イスラム聖戦は、実質的にはイランであると語っている。
また3人とともにいて死亡したジハード・ガネムは、2004年にイスラエル人ハトゥエルさん一家5人(妊娠中だったタリさんとその子供たち4人(2-11歳))を虐殺したテロ事件の指揮官であった。